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ユマサリ、縦横無尽の車いす 対照的な歩み、金の先へ思いは一つ

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ダブルスを組む里見紗李奈(左)と練習する山崎悠麻=東京都江戸川区のヒューリック西葛西体育館で2019年3月12日、宮間俊樹撮影
ダブルスを組む里見紗李奈(左)と練習する山崎悠麻=東京都江戸川区のヒューリック西葛西体育館で2019年3月12日、宮間俊樹撮影

 「オグシオ」「タカマツ」。日本のバドミントン界では、ダブルスペアを愛称で呼ぶのが一般的だ。バドミントンが新競技に加わった東京パラリンピックでは、「ユマサリ」の名前を聞く機会が増えるに違いない。

2年半で世界一、おちゃめな里見

 女子車いすクラスの山崎悠麻と里見紗李奈(ともにNTT都市開発)は2018年にペアを結成。実力者の山崎と新進気鋭の里見は競技の将来を背負う使命感こそ共通するが、ここまでの歩みは対照的だ。

 里見は競技を始めてわずか2年半足らずで世界選手権を制覇。「シンデレラガール」と呼ぶにふさわしい成長を見せる。シングルス(WH1)も世界ランキング1位。金メダル候補としての期待が高まる。

 23歳にして世界の頂点に立つ里見だが、コートを離れたら、おちゃめな素顔ものぞかせる。報道陣から今後の強化の重点を問われ、「どうしよう。(弱点が)ばれちゃう」とおどけてみせるなど、その表情はプレー中を含めていつもにこやかだ。だが、その笑顔が消えた日々がある。

 千葉県出身。中学時代に競技経験こそあったが、その後はファミリーレストランでアルバイトもするなど高校生活を満喫していた。しかし、高校3年の16年5月、友人が運転する車の助手席に乗っていた際、車が壁に衝突。衝撃で脊髄(せきずい)を損傷し、腰から下が不随となった。母比奈子さん(53)は「接客でも笑顔が自然に出る明るい子だったが、(事故後は)毎日機嫌が悪くて心から笑うことがなくなった」と当時の様子を語る。

 9カ月の入院生活を終えて自宅に戻ったが、里見は外出をためらうようになった。「当時は車いすの自分を受け入れることができず、人に会いたくなかった」。ある日、父敦さん(53)から突然、…

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【東京パラリンピック】

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