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東日本大震災から10年。原発安全神話が崩壊し、脱炭素社会への転換を迫られる今、この国のエネルギー政策を考えます。

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太陽光の「闇」 中小規模に緩い安全規制、制度の穴をつく業者も

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住宅地の郊外に設置された発電設備。柵も設置者情報を知らせる看板もなかった=千葉県佐倉市で2021年7月4日午後、高橋祐貴撮影
住宅地の郊外に設置された発電設備。柵も設置者情報を知らせる看板もなかった=千葉県佐倉市で2021年7月4日午後、高橋祐貴撮影

 脱炭素社会の実現へ、国が普及を急ぐ太陽光発電。各地で「メガソーラー」と呼ばれる大規模な太陽光発電施設と住民間のトラブルが目立つようになっているが、国内の太陽光発電は9割以上が50キロワットに満たない中小規模の施設だ。安全規制が甘く、実態がつかみにくいことで「隠れメガソーラー」のような悪質な規制逃れも横行している。

学校裏に太陽光「大雨で崩れないか」

 埼玉県秩父市の市立秩父第一小学校。7月に現地を訪ねると、その校舎裏にある約40メートルの急な斜面に沿ってパイプが組まれ、太陽光パネルが広がっていた。斜面のふもとには民家に続き、小学校の校庭がある。小学校は地域の避難場所にも指定されていて、近くに住む60代女性は「毎年のように全国で豪雨災害が起きている。いつか大雨で崩れてこないか気になる」とこぼす。

 市は2016年、10キロワット以上の太陽光発電を設置する事業者に定期点検や緊急時の対応マニュアルの策定などを求めるガイドラインを作成した。だが、小学校裏のパネルを含め、ガイドラインの策定前に完成した設備は対象外。市の担当者は「小学校裏にあることの危険性は把握している。しかし、現状できる対策がほとんどない」と頭を抱える。

 この発電事業者は取材に対し「仮に災害が起きた際の強度にも十分配慮して設置していて、関連する必要書類は全て国に提出している」と話す。

 電気事業法では、50キロワット以上の施設は「高圧」と呼ばれ、国家資格を持つ保安技師による定期点検などの実施を義務づけている。50キロワット未満の施設は「低圧」と呼ばれ、こうした義務がない。

 しかし、「低圧」施設でも設置場所や施工によっては強風や土砂崩れなどで事故を起こすリスクがある。

 中でも、そのまま申請すると「高圧」になる施設をわざと小分けにして多数の「低圧」施設として申請して安全対策費を浮かそうとする、「分割案件」と呼ばれる事業も存在する。…

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