コロナ禍にドロップキック 「リングに立ちたい」学生プロレスの苦闘

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プロレス団体の練習場を借り、ドロップキックの練習に汗を流す学生たち=大阪市生野区で2021年7月27日午後5時20分、千葉紀和撮影
プロレス団体の練習場を借り、ドロップキックの練習に汗を流す学生たち=大阪市生野区で2021年7月27日午後5時20分、千葉紀和撮影

 長引くコロナ禍で大学生活は規制が続く。知られざる学生プロレスのメッカ・京都から、不自由と不条理に苦闘する学生たちの思いを見つめる。【千葉紀和】

「楽しませる」願いは遠く

 青いリングに学生たちの掛け声と、マットをたたく激しい音が響く。東京オリンピック第5日の7月27日夕。同志社大4年の中森俊仁さん(21)は、大阪市生野区にあるトタン屋根の町工場を改装した練習場にいた。リングを囲むワイヤロープの間を全速力で往復したり、宙返りして受け身を取ったり。基礎練習に4時間近く汗を流した。

 集まったのは、同志社プロレス同盟(DWA)と立命館プロレス同好会(RWF)の計7人だ。両団体はプロレスを「観(み)る」のではなく、「する」のが特徴の大学サークル。ライバル関係にあるが、従来はリングを所有する同大側の体育館で合同練習を続けてきた。

 だが、新型コロナウイルスの猛威が状況を一変させた。各大学は感染拡大を防ぐためのルールを設け、学生活動は制限が続く。中森さんたちも繰り返し発令された緊急事態宣言期間中、学内の練習は許可されず、宣言が解除されても体育館を使えるのは週1回、2時間のみとなった。

 「毎回リングの鉄骨を組み立て、マットやロープの張りを調節するのに1時間半かかってしまう。もっと練習がしたくて」。2020年11月から、大阪を中心に活動するプロレス団体「プロレスリング紫焰(しえん)」に頼み、練習場を使わせてもらうようになった。

 練習中、口元にはマスクをきっちり着用。「悪役」たちもルールは厳守だ。換気と暑さ対策を兼ねた大型扇風機を回しているが、「技の応酬に熱が入ると呼吸が苦しい」。練習後は、リングやトレーニング機器をアルコールで消毒する。

 DWAの発足は1978年、RWFは85年。ともに40年前後の歴史を誇り、学生プロレス界では「老舗」団体だ。近年は新入生の歓迎行事や学園祭など年間…

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