拒食症と感染症…19歳で逝った少女 詩集に反響 幸せと葛藤刻む

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11歳の時の小塙佳苗さん=2011年(卓さん提供)
11歳の時の小塙佳苗さん=2011年(卓さん提供)

 拒食症やアスペルガー症候群と闘い、2019年に19歳で緑膿菌(りょくのうきん)などによる感染症を患って亡くなった女性がつづった詩などを集めた本「天を仰ぐ――十九歳で早世した少女の魂の軌跡」が、静かな反響を呼んでいる。病死した小塙(こばなわ)佳苗さんの父・卓(たかし)さん(54)が昨年発行した初版500部は約1カ月で完売し、すぐに再版した。感染症の新型コロナウイルスで突然家族を失う人も多い今、卓さんは「悲しみは消えないと思うが、故人が生前幸せだった時間もあったことを思い出してもらえたら」と願う。【南茂芽育】

 <苦しくても あきらめないで きっと人生に 勝てるから

 笑ってて いいんだよ 生きていることの 証だから>

 佳苗さんが、摂食障害の一種である拒食症などと闘い続けた病棟の個室でつづった詩の一節だ。佳苗さんの詩は闘病の葛藤のみならず、人や自然への愛、希望など多彩な感情に満ちあふれている。

     ◇

 佳苗さんは00年生まれ。東京都世田谷区で父母、妹との4人家族で育った。

 家族によると、小学校の半ばごろから、対人関係が苦手になったり、急な予定変更にうまく対応できなくなったりと、発達障害の一つとされるアスペルガー症候群の傾向を示すようになった。友人からの「これ食べると、太るよ」などという言葉から、物事への強いこだわりが食に表れ、「食べるのが怖い」という重度の摂食障害を患い、小学5年の終わりごろから学校を休み、入退院を繰り返すようになった。

 娘の闘病に、共に向き合い続けた卓さんは本の中でこうつづる。

 「世の中では一部に、拒食症を贅沢(ぜいたく)病だと考える人もいるだろう。私も当初はそう思っていた。食べることは自力でできる事だと思っていた。でも、…

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