2021毎日ファッション大賞に小泉智貴さん、新人賞・資生堂奨励賞には高橋悠介さん、「スノーピーク」が話題賞に
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2021年(第39回)毎日ファッション大賞(毎日新聞社主催、経済産業省後援)の受賞者が29日発表され、大賞は「TOMO KOIZUMI(トモコイズミ)」デザイナーの小泉智貴(こいずみ・ともたか)さん、新人賞・資生堂奨励賞に「CFCL(シーエフシーエル)」代表でクリエーティブディレクターの高橋悠介(たかはし・ゆうすけ)さんが選ばれた。長らく業界に貢献した人や団体に贈られる鯨岡阿美子賞には「ここのがっこう」、話題賞は「スノーピーク」、ファッション文化特別賞に故・高田賢三(たかだ・けんぞう)さんが選ばれた。
大賞の小泉さんは、11年に自身のブランドを設立。写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿したドレスが、世界的なスタイリスト、ケイティ・グランドの目に留まり、その1カ月後にニューヨークでファッションショーを開催し、大成功をおさめた。彼のアイコニックでカラフルなラッフル(フリル)ドレスは、人々の気分を引き上げ、国内外で人気となり、ファッション界に大きな影響を与えた。世界へのインパクト、多業種とのコラボなど若者の目標や憧れになるような活動が高く評価された。19年(第37回)毎日ファッション大賞で選考委員特別賞を受賞。東京オリンピックの開会式で、国歌を歌ったMISIAさんのドレスも手掛けた。
新人賞・資生堂奨励賞の高橋さんは、10年に三宅デザイン事務所に入社、13年からISSEY MIYAKE MENのデザイナーを務めたのち、20年に自身の会社「CFCL」を設立。ニューノーマル時代でファッションの価値や役割が変わっていく中、サステナブルな取り組みや自分たちの手で社会を変革していこうとするビジョンが明快で、無縫製ニットによる服の完成度も高いと評価された。デザイナー、経営者としての総合的な仕事ぶりに注目が集まる。
鯨岡阿美子賞の「ここのがっこう」は、08年に山縣良和(やまがた・よしかず)さん(writtenafterwardsのデザイナー)によって開校された私塾だ。世界と自分自身の装いの原点に向き合いながら、ファッションを学ぶ。一般的な服飾学校とは違い、デザインの本質、自分の内にあるものをどう表現するかを学ぶ場としての評価は高く、青木明子さんや横澤琴葉さんら卒業生の活躍も目覚ましい。「ファッションをデザインする」ということが根底から問い直されるタイミングにあって、時代に左右されず、地道で信念をもった山縣さんの教育方針が高く評価された。
話題賞の「スノーピーク」は、国産アウトドアブランドで、商品の企画、製造販売を行う。創業以来一貫している革新的な製品の開発、顧客本位の高品質なものづくり、いつでも修理を受け付ける「永久保証」は今日的なサステナブルに通じ、信頼できるメード・イン・ジャパンの商品として厚い支持を得ている。コーポレートメッセージは「人生に、野遊びを。」。ソロキャンプ、ワーケーションなどコロナ下の新たなライフスタイル需要にも応える。
今回、故・高田賢三さんのために「ファッション文化特別賞」が設けられた。高田さんはKENZOの創業者で、世界で活躍した日本人デザイナーの一人。デビュー50周年にあたる20年10月に惜しまれながら亡くなった。パリでデビューし、世界のファッショントレンドをけん引した影響力は絶大で、日本の若者や後進に夢を与え続けた。単なるデザイナーではなく、ファッションの楽しさや生きる喜びをライフスタイル全般に広げ、示した功績は大きい。1985年(第3回)毎日ファッション大賞受賞。