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韓国のメディア法改正案 言論統制につながる恐れ

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 韓国の与党がメディア関連法の改正を進めようとしている。フェイクニュースによる被害の救済が目的だと主張するが、言論統制につながる恐れがある。

 メディアへの懲罰的な措置を盛り込んだ「言論仲裁法」改正案だ。故意や重大な過失による報道で名誉を毀損(きそん)された人が、多額の損害賠償を請求できるようにする。

 問題は、故意や過失の有無を判断する基準があいまいなことだ。しかも、メディア側に厳しい立証責任を負わせている。

 賠償額の算定に当たっては、訴えられた企業の売上高なども考慮される。来年3月の大統領選を控え、政権に批判的な大手報道機関をけん制しようという意図が読み取れる。

 法曹界や市民団体などは「民主主義の根幹を脅かす」と批判している。だが、与党は採決を強行する構えだ。

 メディア規制の動きは各国で強まっている。権威主義的な国ではフェイクニュース対策を名目にした抑圧的な動きが目につく。

 しかし言論の自由は最大限に尊重されなければならない。民主主義国家である韓国では、当然守られるべき基本的人権のはずだ。

 軍事独裁時代、韓国メディアは厳しい検閲を受けていた。国による言論統制を批判し、民主化を求めて戦ってきた人々が、文在寅(ムンジェイン)政権の中枢を占めている。

 にもかかわらず、現政権は自らへの批判には不寛容だ。大統領批判のビラを配ったことを理由に侮辱罪で告訴された男性もいる。

 昨年春の総選挙で与党が圧勝してからは、言論の自由をないがしろにするような法律の制定が相次いでいる。

 金正恩(キムジョンウン)体制を批判するビラを北朝鮮に向けて散布することを禁じた。1980年に起きた民主化運動の光州事件に関する「虚偽情報」の流布を罰する法律も作った。いずれも、野党の反対を押し切って成立させた。

 文氏は言論仲裁法改正案について沈黙を続け、野党やメディアから批判されている。

 人権派弁護士出身の文氏はこれまで、言論の自由が大切だと繰り返してきた。それならば、改正案を撤回するよう与党に働きかけるべきである。

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