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澤田瞳子の日本史寄り道隠れ道

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虫を愛でる 音を楽しみ、名付け飼い慣らす

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蜂蜜を集めるミツバチ。平安時代の貴族たちも虫たちと深い関わりがあった=大阪市中央区で、猪飼健史撮影
蜂蜜を集めるミツバチ。平安時代の貴族たちも虫たちと深い関わりがあった=大阪市中央区で、猪飼健史撮影

 残暑がどれだけ激しくとも、8月も半ばを過ぎると秋の草花がひっそり顔をのぞかせ、夜には虫たちが静かに啼(な)き始める。

 虫の音に季節を感じる心性は平安時代中期になって表れたらしく、実際、奈良時代に編纂(へんさん)された『万葉集』には虫を詠んだ歌はほんの数首しかない。しかもどういうわけか、詠まれる歌はすべてコオロギだ。ところがこれが10世紀初めに編まれた『古今和歌集』になると、キリギリスや松虫、はたまた季節の風物詩としての虫を詠んだ歌が急増する。

 それから約百年後に活躍した清少納言は『枕草子』で、「虫は鈴虫。ひぐらし。蝶。松虫。きりぎりす。はたおり。われから。ひを虫。蛍」と記しているので、どうやらこの頃までには、虫を愛(め)でる習慣が日本人に根付いていたらしい。

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