折り重なる遺体、鳴り響く着信音…歌舞伎町火災20年 過酷な現場
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「十数人が折り重なって倒れていた」「現場では犠牲者の携帯電話が鳴り続けた」――。2001年に44人が死亡した東京・歌舞伎町の雑居ビル火災は9月1日で発生20年を迎える。現場で救助活動に従事した東京消防庁新宿消防署の特別救助隊員3人が取材に応じ、当時の過酷な状況を振り返った。
3人は01年9月1日午前1時1分、火災発生の一報を受けて出動した。「大したことない火災だな」。隊長だった菊池真紀夫さん(58)は雑居ビルからわずかな黒煙が上がるのを見て、こう感じたという。
だが、現場に到着すると、先遣隊から「3階に逃げ遅れが20人ほどいる」と伝えられ、すぐに隊員を3階に向かわせた。しかし、次々と引き返してきた。「熱くて先に進めません」
ビル内は煙と熱気が充満していた。階段のプラスチック製の手すりは溶け落ち、陶器製のタイルは熱を帯びて赤く光った。感じたことのない熱さだった。隊員の黒木征昭さん(50)は「助けなければという使命感はあったが、先に進めない状態だった」と回想する。
菊池さんは自ら先導して3階を目指した。階段には…
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