演劇 ケムリ研究室「砂の女」 谷底の閉塞感のリアル=評・濱田元子

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緒川たまき(左)と仲村トオル=引地信彦撮影
緒川たまき(左)と仲村トオル=引地信彦撮影

 砂の谷底で繰り広げられる安部公房の寓話(ぐうわ)めいた傑作小説の舞台化。安部の社会や人間への批評的なまなざしに、乾いた笑いをまぶして重層的な悲喜劇として見せる上演台本・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の才気がさえる。

 緒川たまきとの演劇ユニット「ケムリ研究室」の第2弾。

 砂丘に昆虫採集に来た教師の男(仲村トオル)が砂に埋もれそうな谷底の家に閉じ込められ、女(緒川)と共に夜な夜な砂をかき出す労働をさせられる。村人(廣川三憲ら)の監視の中、逃げ出そうと必死に策を弄(ろう)する男。男と女の心情のもつれを含め、サスペンスフルに展開する。

 砂とは何のアナロジーか。思考の奥をくすぐる小説は映画化もされたが、男の脳内を立体化するような演劇的な仕掛けが、小説世界をさらに押し広げ、アナログな手触りで臨場感を生む。

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