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ドルショックから50年 危機再発防ぐ国際協調を

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 世界経済はこの半世紀、膨張を続けるマネーの荒波に翻弄(ほんろう)されてきた。

 1971年8月、ニクソン米大統領は突然、戦後の国際通貨秩序を支えたドルと金の交換体制の停止を発表した。裏付けを失ったドルは急落し、ドルショック(ニクソン・ショック)と呼ばれた。

 ベトナム戦争の泥沼化で米国の覇権が揺らぎ始めた時期だ。1ドル=360円などの固定相場制は崩れ、市場の自由な取引で決まる変動相場制に移行した。

 制約がなくなったマネーは世界を行き交うようになった。経済のグローバル化を後押しした一方、カネ余り時代に突入した。

 為替や株式などの取引は投機色が強まった。経済のバブル化とその崩壊を引き起こし、リーマン・ショックなどの危機が頻発した。

 日本もバブルが発生し、崩壊に長く苦しんだ。85年のプラザ合意後に急速な円高・ドル安となり、日銀が不況対策として大規模な金融緩和を推し進めたのが要因だ。

 火種は今もくすぶる。新型コロナウイルス禍で景気が悪化したのに、巨額の資金が株価を高騰させ、過熱が懸念されている。

 デジタル時代の新しい通貨として脚光を浴びた仮想通貨(暗号資産)も、マネーゲームの対象と化し、相場は乱高下している。

 世界経済を回復させるためにも、危機を繰り返してはならない。各国が通貨の安定で協調することが求められる。

 コロナ下の株高を招いたのは、日米欧などの大型経済対策であふれたマネーだ。これ以上の野放図な財政出動や金融緩和は禁物だ。

 今でもドルは世界で最も使われる通貨である。米国の財政が大幅に悪化すると、信用が失墜し、各国に打撃を与える。米国は責任の重さを自覚してほしい。

 米中の覇権争いも心配だ。

 中国は、海外でも使えるデジタル人民元の実用化を急いでいる。巨大経済圏構想「一帯一路」の参加国などに広げる狙いとされる。

 米国はドル基軸の体制が脅かされると警戒している。半導体の囲い込みに続いて、通貨の分野でも分断が深まる恐れがある。

 米中の対立はコロナ下の世界経済を混乱させる。国際秩序の安定に努めるのが大国の責務だ。

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