知的障害の女性が支援所長から性被害 事件化されず、今も眠れぬ夜

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「思い出そうとすると吐き気がする」。担当弁護士が次女から聞き取って作成した文書の一部=福岡県内で2021年6月10日午後2時47分、飯田憲撮影(画像の一部を加工しています)
「思い出そうとすると吐き気がする」。担当弁護士が次女から聞き取って作成した文書の一部=福岡県内で2021年6月10日午後2時47分、飯田憲撮影(画像の一部を加工しています)

 警察署で事情を聴かれた次女はその夜、母親のそばで泣いていた。知的障害がある次女は10代だった4年前、障害者の就労を支援する事業所の男性所長にわいせつな行為をされたとして被害届を出した。だが、事件化は見送られた。今も忌まわしい記憶がよみがえり、次女は眠れない夜を過ごす。寄り添い続ける母親が取材に応じた。【飯田憲】

 「娘の知的能力は小学校の中学年程度。本来、援助を受ける場で被害に遭うなんて……」。福岡県内に住む母親(56)は、知的障害がある次女(23)が通所事業所で受けた性暴力被害について自責の念にさいなまれている。

 事件は2017年8月、次女が調理技術を身につけるために通っていた同県久留米市の就労移行支援事業所で起きた。通所し始めて数カ月で様子がおかしくなった。次女に聞いても黙り込むだけ。その後、別の障害者施設で手首を傷つけて「死にたい」と訴えた。旧知の別の施設職員が理由を聞き取り、支援事業所での性暴力被害が発覚した。

 相手は支援事業所の40代の男性所長だった。数カ月にわたって事業所内で胸を触られたり、日中に近隣のホテルに連れ出され、わいせつな行為をされたりしたという。「支える立場の人なのに」。ショックを受けた母親は17年12月、福岡県警に被害届を出し、自宅がある自治体にも相談した。

 この自治体は障害者虐待防止法に基づく調査を実施し「所長による性的虐待があった」と判断。事業所がある久留米市は18年4月、虐待防止策を講じるよう運営会社を行政指導した。事業所は既に閉鎖している…

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