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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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福島の帰還困難区域 20年代に希望者全員帰還へ 政府方針

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霞が関の官庁街(手前)。左奥は国会議事堂=東京都千代田区で、本社ヘリから宮武祐希撮影 拡大
霞が関の官庁街(手前)。左奥は国会議事堂=東京都千代田区で、本社ヘリから宮武祐希撮影

 政府は31日、原子力災害対策本部と復興推進会議の合同会合を開き、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のうち、避難指示解除のめどが立っていなかったエリアについて、希望する住民全員が2020年代に帰還できるようにする基本方針を決定した。原発事故発生から約10年半を経て、被災地全域について帰還の方向性が示された。

 帰還困難区域は、福島県の7市町村(南相馬市、飯舘村、葛尾村、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町)にまたがる約337平方キロ。このうち22~23年に避難指示が解除される見通しが立っているのは約27平方キロの「特定復興再生拠点区域」(復興拠点)のみ。帰還困難区域全体の住民登録は今年4月現在2万1675人で、このうち復興拠点外には約4割の8288人が登録している。

 方針では、すぐに帰還を判断できない住民にも配慮し、複数回にわたり帰還の意向を確認し、復興拠点の避難指示解除後に遅滞なく除染を開始するとした。除染の範囲は帰還の意向を示した住民の「帰還に必要な箇所」とし、住宅周辺を基本としつつ地元自治体とも協議して決めていく。

 除染費用は、東電への求償ではなく「自治体全体の復興を後押しする措置である」ことを理由に国費を投じる。復興特別会計と、原発政策にも使われるエネルギー対策特別会計の応分の負担で確保する方針だ。

 一方、帰還を希望しない住民の土地や家屋の扱いは今後の検討課題とした。

 菅義偉首相は会合で「自宅に帰りたいという切実な思いを受け止め、帰還に向けて新たな一歩を踏み出すべく方針を決定した」と述べた。事故から約10年半の決定に、平沢勝栄復興相は会合後の記者会見で「もうちょっと早くできなかったのか。方向性だけでも前から言っておいてあげたらよかった」と話した。

 政府方針について、福島県の内堀雅雄知事は記者会見を開き「前進だ。重い決断で覚悟を持って臨むことが示された」と評価。その上で、帰還意向のない住民の土地や家屋の扱いなど、自治体や個人の考えを十分に考慮して対応することを求めた。大熊町の吉田淳町長と浪江町の吉田数博町長もそれぞれ談話を出し「住民に寄り添った対応を」と要望した。全町民避難が続く双葉町の伊沢史朗町長は「帰還が早期に実現されるよう除染手法などについて国との協議に応じていく」とコメントを出した。【関谷俊介、磯貝映奈】

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