もう一つの横浜市長選 供託金没収覚悟で「泡沫候補」が訴えたこと

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記者会見で出馬を表明する坪倉良和氏=横浜市中区の市役所で2021年6月29日午後4時13分、高田奈実撮影
記者会見で出馬を表明する坪倉良和氏=横浜市中区の市役所で2021年6月29日午後4時13分、高田奈実撮影

 「選挙運動はしない。200%落ちる」。そう言い切って横浜市長選(8月22日投開票)に立候補し、最下位で落選した候補者がいる。水産仲卸会社「坪倉商店」社長の坪倉良和氏(70)だ。出馬した8人のうち唯一、政党の支援がなく、政治・行政経験もない。「泡沫(ほうまつ)候補」と呼ばれても不思議ではない。なのになぜ、供託金の没収を覚悟して出馬したのか。そこには悪ふざけでも金持ちの道楽でもなく、切実な理由があった。

 22日午後8時。報道各社が速報を一斉に流し、元横浜市立大教授の山中竹春氏(48)=立憲民主党推薦=の当選確実を報じた。自宅にいた坪倉氏もスマートフォンで読んだ。得票数は最も少ない1万9113票。有効投票数(150万7554票)の10分の1に届かず、供託金240万円が没収された。

 「正直、結果は気になるにはなりますが、ビリが当然と思っている私ですから、そりゃ気が楽です」。投開票前日の21日夜、ツイッターにそう書き込んだ坪倉氏。27日に改めて感想を尋ねると「何もしなくてもこれだけの人が投票してくれた」とすっきりした表情で笑った。

 街頭演説は一切せず、選挙ポスターも作らない――。出馬を表明した6月29日の記者会見で語った内容は、驚くべきものだった。「供託金を払って自分のしゃべりたいことをしゃべる」とも。息子がお笑いトリオ「我が家」のボケ担当で俳優としても活動する由幸さん(43)とあって、ちょっとした話題になった。

 「しゃべりたいこと」とは、…

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