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国会論議応じぬ首相 国民置き去りの無責任さ

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 立憲民主党など野党4党が憲法に基づき求めていた臨時国会の召集を政府・与党が拒否した。理解に苦しむ対応だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、医療体制の拡充や財源の確保を与野党が国会で議論すべき時である。

 野党は補正予算を編成し、数兆円の予備費を追加計上するよう求めた。今秋の衆院選で政治空白が生じることを念頭に、機動的な対応を可能にするためだ。

 予備費は国会審議なしに政府が自由に使うことができる。ただし、使途を白紙委任されたものではない。ワクチン接種の促進や治療薬の追加購入など既に支出した分について、適切に使われたかどうかを国会で検証する必要もある。

 首相はワクチンの接種状況を踏まえ、緊急事態宣言の解除基準を見直す意向を示している。見直すならば国会で説明すべきだ。

 自民党幹部からも臨時国会の必要性を認める発言が出ていた。

 にもかかわらず首相が応じなかったのは、野党の追及を避けるためだと見られても仕方ない。

 議論に背を向ける姿勢は、総裁選への対応にも表れている。

 立候補表明した岸田文雄前政調会長は、党改革に取り組む姿勢を強調している。在任期間が5年に及ぶ二階俊博幹事長の交代を想定したものと見られている。

 これを受けて首相は、二階氏の交代を含む党役員人事を、総裁選前に行う方針を固めたという。岸田氏の機先を制しようという思惑がうかがえる。

 岸田氏がコロナ対策で数十兆円規模の追加経済対策が必要だと提唱すると、首相も直後に対策の準備を党幹部に指示した。

 ただし、対策を盛り込んだ補正予算の成立は衆院選後の年末以降になる。喫緊の課題を国会で議論せず、選挙対策の道具とするなら党利党略にもほどがある。

 さらに首相は今月中旬に衆院を解散する意向だという。その場合、17日告示、29日投開票が予定されている総裁選は先送りされる。党内での論戦さえも避けるためではないか。

 解散総選挙となれば、これまで正面から国民と向き合ってこなかった首相の政治姿勢そのものが厳しく問われることになろう。

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