池袋暴走 法廷で交わらなかった被告の主張と遺族の無念

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妻子の遺影を手に東京地裁に向かう松永拓也さんと真菜さんの父の上原義教さん(手前右)=東京都千代田区で2021年9月2日午後1時12分(代表撮影)
妻子の遺影を手に東京地裁に向かう松永拓也さんと真菜さんの父の上原義教さん(手前右)=東京都千代田区で2021年9月2日午後1時12分(代表撮影)

 「ブレーキを踏んだのに加速した」とかたくなな被告に、「心を踏みにじられた」と法廷で涙する遺族。東京・池袋で2019年4月、乗用車を暴走させて自動車運転処罰法違反(過失致死傷)に問われた飯塚幸三被告(90)の公判は、被告の主張と遺族の無念な思いが交わることなく、東京地裁で判決の日を迎えた。

松永さん「無罪主張は自由だが…」

 初公判は20年10月8日。事故で妻真菜さん(当時31歳)と長女莉子ちゃん(同3歳)を亡くした松永拓也さん(35)は、2人の遺影を持って地裁に向かった。事故から約1年半。飯塚被告は車椅子に乗って入廷し、弁護人の手を借りて証言台の前に移動すると、頭を下げた。

 飯塚被告 最愛の2人を亡くされた悲しみ、ご心痛を思いますと言葉がございません。また、おけがをされ苦しまれた皆様、ご親族に深くおわび申し上げます。

 謝罪の言葉を述べる一方、裁判長から起訴内容について問われると、はっきりした口調で答えた。

 飯塚被告 アクセルを踏み続けたことはないと記憶しています。車の何らかの異常で暴走したと思っております。

 刑事裁判は「推定無罪の原則」が適用され、有罪の立証責任は検察側にある。被告が無罪を主張することは一つの権利と言える。一方、検察側は冒頭陳述で、事故1カ月前の車両点検で異常はなく、車の記録装置にはアクセルを踏みこんだデータが残っていたなどとする客観証拠を列挙し、被告がブレーキとアクセルを間違えて踏み続けたと主張した。

 閉廷後の記者会見で松永さんは「被告の権利として無罪主張するのは自由」としつつ、こう望んだ。

 松永さん 検察官が開示した証拠を見た限り、アクセルとブレーキの踏み間違えとしか思えない。加害者の心はコントロールできないが、2人の命と私たちの無念に向き合ってほしい。

飯塚被告「アクセルが張り付いた」

 21年4月27日の被告人質問で、飯塚被告は初めて事故を詳細に語った。運転ミスはなかったと繰り返す姿は、被害者を苦しめる。

 弁護人 加速が始まったのは?

 飯塚被告 …

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