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秋季大会2021

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泥だらけの甲子園 雨にも負けず「神整備」 阪神園芸、ミリで闘う匠たち

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甲子園のグラウンドに立つ阪神園芸甲子園施設部長の金沢健児さん=兵庫県西宮市で2021年7月29日、梅田麻衣子撮影
甲子園のグラウンドに立つ阪神園芸甲子園施設部長の金沢健児さん=兵庫県西宮市で2021年7月29日、梅田麻衣子撮影

 この夏の甲子園、全国高校野球選手権大会は雨に苦しめられた。前線の停滞で不安定な天候が続き、7度の順延。決勝は大会史上最も遅い29日にまでずれ込み、ノーゲームやコールドゲームもあった。そんな中で、注目されたのが「阪神園芸」だ。泥だらけのグラウンドを、瞬く間に野球ができる状態に戻す様子は「神整備」と称賛された。あの時、何を考え、何をしていたのか。指揮を執る阪神園芸の甲子園施設部長、金沢健児さん(54)に話を聞くと、そこにはミリ単位で闘う「匠(たくみ)」の世界があった。

整備歴33年で初めての経験

 大会前に金沢さんにインタビューをしていたが、連日の「神整備」で改めて話を伺った。長い雨がようやく落ち着いた8月23日。この日夕方から行われる全国高校女子硬式野球選手権大会決勝に向けた整備もほぼ終わり、少しほっとしたような表情だった。

 「こんなのは今までないですね。グラウンドコンディションの維持、いや、試合をできる状態にするのが大変で、毎日天気予報や、空を見ながらでした」

 20歳で阪神園芸に入社して以来、甲子園の整備一筋。グラウンドキーパー歴33年の金沢さんをもってしても、これほど雨にたたられた大会は初めてだった。

 普段から夜に6時間以上熟睡することはほとんどないそうだ。若い頃にプロ野球・阪神のキャンプに同行した際、雨の日は早起きしてグラウンドを確認しなければならなかった。寝坊できないプレッシャーから、旅館の軒先のトタン屋根をたたく雨の音で必ず目が覚めた。今は、車が水をはねる音で目が覚めるという。「職業病ですね。絶対そうです」。今大会中も毎晩2、3回は目を覚ました。そのたびに枕元のスマートフォンで雨雲レーダーや降水量を確認し、再び浅い眠りに入る。雨が予想される日は午前5時半に大会本部に関係者が集まって開催可否を協議するため、4時過ぎには起きる日々だった。

 阪神園芸が最も注目されたのは、大会第6日の8月19日。第1試合が激しい雨でノーゲームとなり、第2試合とともに翌日に順延されたものの、午後から天気の回復が見込まれたため、午後3時から2試合を行うという異例の対応が取られた日だ。

 予報通り、雨は午後1時ごろに上がった。しかし、そのタイミングで金沢さんはグラウンドから離れた。

 「わざとグラウンドを見ないようにした。…

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