特集

東京パラリンピック

東京パラリンピックに関する特集ページです。

特集一覧

パラのエースたち

「バリア」だらけの海へ カヌー瀬立モニカ、共生願いこぐパドル

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
瀬立モニカ選手=沖縄県大宜味村で2021年4月14日、五十嵐朋子撮影
瀬立モニカ選手=沖縄県大宜味村で2021年4月14日、五十嵐朋子撮影

 東京パラリンピックのカヌー競技で、勝敗のカギを握るのは、海を攻略できるかどうかだと言われている。会場の「海の森水上競技場」は東京湾だ。「カヤック」に出場する瀬立(せりゅう)モニカ(23)=江東区協会=はこの数年、悲願のメダルを目指し、その対策に力を入れてきた。

海の怖さ、パニックになることも

 瀬立が経験してきたパラカヌー大会の多くは、会場が湖だった。初めて出場したパラリンピックの2016年リオデジャネイロ大会も湖だった。普段の練習拠点は、地元・東京都江東区の流れの穏やかな「旧中川」だ。海でこぐことは未知に近かった。海水面は当然のように波があり、独特のうねりがある。突然強い風が吹くこともある。淡水と違って浮力が高く、カヌーのバランスを取るのが難しい。

 「海」を攻略するために合宿先として選んだのが沖縄だった。19年から筑波大を休学し、カヌーのオフシーズンの冬になると、沖縄に渡るようになった。最初の年は名護市のダム湖で練習していたが、翌年から練習場所を大宜味村(おおぎみそん)の「塩屋湾」に移した。

 海の攻略は簡単ではなかった。「波とか風がいちばん嫌いだった」。奥行き1・6キロの湾を沖へこいでいって向きを変える時、必ず横波を受ける。そのたびに転覆しそうになる。「耐えられなくて怖くて、パニックになっちゃうこともありました」

 そこに頼りになる助っ人が現れた。村からほど近い町に住む島武文(たけふみ)さん(50)。カヌーの元競技者で、西明美コーチ(52)の後輩だ。普段はマングローブの森をカヌーで巡るツアーガイドをしている。練習時、島さんが自分のカヌーで一緒に海にこぎ出し、そばでアドバイスしてくれた。

 「目線を高く」「怖くても止まらないで」――。

 やがて、瀬立は、波に乗ったり、かわしたりする方法を身につけた。「今では並走しても追いつかないですよ」と島さんはうれしそうに笑う。

 沖縄合宿では住民たちから思わぬサポートも受けた。…

この記事は有料記事です。

残り1044文字(全文1860文字)

【東京パラリンピック】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

注目の特集