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中村文則の書斎のつぶやき

芥川賞作家・中村文則さんが、いろいろな場所の「書斎」から、さまざまなことをつぶやきます。

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中村文則の書斎のつぶやき

政治に新しい時代を

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作家の中村文則さん=東京都千代田区で2020年1月23日、宮間俊樹撮影
作家の中村文則さん=東京都千代田区で2020年1月23日、宮間俊樹撮影

 日本のコロナ対策を一気に振り返ると、なかなか辛(つら)いものがある。

 中国の武漢でコロナが拡大していた時、台湾は必死に警鐘を鳴らしていた。だが中国からの渡航者を、症状を自己申告させる「問診票」で迎えたことから、日本のコロナ対策は始まっていた。

 豪華客船内の流行も悲惨だった。度胆(どぎも)を抜かれたのが、船内で作業をした厚生労働省の役人たちが、もし陽性だと差し支えるとの理由で、検査を受けなかったことだった(批判され後に受けた)。未来のコロナ対策の失敗を予見させる、現実否認を煮つめたような出来事だった。長い安倍政権下で、役人の風土も変わったのだと酷(ひど)く驚いた覚えがある。

 コロナの被害は地域差があった。日本が比べるべきなのは、近隣の先進諸国など、つまり韓国、台湾、中国、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリアのはずだった。だがマスコミや論客たちは、なぜか全然違う地域のG7と比べ、「まだまし」という、何の意味もない、むしろ有害な慰めを伝え続けた。先に挙げた近隣の中では、日本は断トツに、もう一国のみで圧倒的に失敗していた。

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