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総裁選と菅首相 「個利個略」は通用しない

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 新型コロナウイルス禍で国民が我慢を強いられる中、権力維持に汲々(きゅうきゅう)とするのは首相としてあるべき姿だろうか。

 菅義偉首相は17日に告示される予定の自民党総裁選に先立ち、来週、党役員人事と内閣改造を行う方針だ。本来ならば総裁選の勝利者が行うべきもので、異例の対応といえる。

 二階俊博幹事長を交代させる意向という。在任期間が5年にも及び、自らの派閥の勢力を拡大してきた二階氏には、党内の不満が高まっていた。

 総裁選に立候補を表明している岸田文雄前政調会長が二階氏の交代を念頭に党改革を打ち出すと、首相が先手を打った。

 さらに人事の刷新をアピールして、衆院解散に打って出ることまで検討していたという。

 首相はきのう、「最優先は新型コロナ対策だ。今の厳しい状況は解散できる状況ではない」と否定した。だが、批判の矢面に立つ総裁選を先送りするためではないかと、党内には疑心暗鬼が渦巻く。

 政局よりもコロナ対策を優先すべきなのは当然だ。

 解散すれば全ての衆院議員が失職するため、新たな対策の決定や、緊急事態宣言の発令・延長などについて国会で十分に議論できなくなる。

 このため、政府・与党内では衆院を解散するのでなく、選挙中も議員活動が可能な「任期満了選挙」も検討されている。

 いずれの場合も、衆院選の投票日は来月17日と想定される。ならば、不測の事態に国会が対応できるようにするのが筋ではないか。

 首相が政権浮揚を期待した東京オリンピックの閉幕後も、内閣支持率は2割台と低迷が続く。コロナ対策が後手に回り、国民への説明を尽くそうとしない姿勢が批判されている。

 まずは臨時国会を直ちに開いてコロナ対策を与野党で討議し、総裁選での論戦に堂々と臨んだうえで、衆院選で国民に信を問うのが常道だ。小手先の人事で信頼が回復するとは思えない。

 自らの政治的延命にこだわる今の首相の振る舞いは、党利党略どころか「個利個略」と言われても仕方ない。そんな姿勢では国のリーダーは務まらない。

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