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「まさに命がけ」パラ学校観戦 引率教員が見た実態と保護者の胸中

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車いすラグビーの日本-フランス戦を前に、両国の選手に手を振る生徒たち=国立代々木競技場で2021年8月25日、徳野仁子撮影
車いすラグビーの日本-フランス戦を前に、両国の選手に手を振る生徒たち=国立代々木競技場で2021年8月25日、徳野仁子撮影

 「命をかけてまで観戦する必要があるのか」「大人の都合では」――。東京パラリンピックの競技会場で、子どもたちが学校単位で観戦する「学校連携観戦プログラム」。新型コロナウイルスが感染拡大する中での実施に批判が高まり、観戦を中止する自治体が相次ぐ一方で、「教育的意義」があるとして参加を続ける自治体もある。実際に観戦を引率した学校の教員や、参加を見送った子どもの保護者らが匿名を条件に取材に応じ、観戦の実態や複雑な思いを明かした。【木許はるみ/デジタル報道センター】

濃厚接触者特定のため座席を撮影

 「感染対策が徹底しているとは言いがたく、何かあったときの責任の所在はあいまいなまま。この状況で子どもたちを連れて行くのは不安です」。学校連携観戦プログラムで2日に子どもたちを引率した東京都渋谷区の教員は戸惑った様子で話した。

 プログラムは、競技会場のある東京都、千葉県、埼玉県で8月25日から順次始まった。参加は保護者や本人の希望が前提で、東京都教育委員会によると、都内では24日時点で渋谷区、新宿区、杉並区、八王子市の約2万人が参加すると見込む。一方、千葉県では観戦を引率していた教員2人の新型コロナ感染が判明し、8月30日に熊谷俊人知事が中止を発表した。

 渋谷区では8月25日から最終日の9月5日まで30校の約9100人の参加を予定。区議会では開幕後も「感染した場合に誰が責任を取るのか」と中止を求める声も出たが、区教委は「地元開催の大会をじかに見学し、感動を覚えられる」「通常の学校生活では経験できない計り知れない教育効果がある」として参加を続けている。

 この教員が勤務する学校では、パラリンピック競技のルールやどんな選手が出場するのかなどを教えてきた。「選手のファンになって、選手の言葉に励まされたという子もいます。現場でそれらの選手を見ることに意義はあるかもしれませんが、競技会場では感染対策のため、黙って見ます。観戦時間も1時間と決められています。テレビで解説付きで見た方がよほど理解が深まると思います」

 東京都は感染防止のために、会場まで貸し切りのバスで移動し、希望者にはPCR検査を事前に実施するとしている。教員は直前まで観戦の準備に追われた。…

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