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夏空の下、小高い丘の斜面で数頭の牛が青々と茂った牧草を食べていた。背景には、山々の稜線(りょうせん)。時が止まったような、のどかな風景が広がっていた。
厚真町北部の幌里地区。奈良県出身の福島幸太朗さん(31)は2017年春、妻智子さん(29)と町内に移り住み、翌18年9月、ここで和牛の繁殖牧場を開業した。最大震度7の巨大地震が襲ったのは、真新しい牛舎に牛を引き入れた4日後だった。
「何が起こったんだ」。同6日午前3時7分、激しい揺れで目覚めた。夜明けと共にアパートを飛び出し、牧場に向かった。道中、山から崩れ落ちた土砂が行く手を阻む。歩いて乗り越えると、ひしゃげた家や電柱が目に入った。「だめかもしれない」
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