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コロナと児童虐待 家庭孤立させない体制を

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 児童相談所(児相)への虐待の相談件数が2020年度に初めて20万件を超えた。増加に歯止めがかかっていない。

 政府は対応にあたる児童福祉司や児童心理司の増員を進めている。だが、目標人数に届いていない。体制強化が急務だ。

 経験が浅い職員が増えており、長期的な人材育成が課題だ。メンタル面も含め、職場でフォローする仕組みが欠かせない。

 新型コロナウイルス禍の影響も注視する必要がある。

 懸念されるのは、周囲の目が家庭内に届きにくくなり虐待が潜在化することだ。

 子どもの異変に気付く機会がある学校や保育所などからの相談が減った。感染防止のため、子ども食堂や学習支援の場など地域の活動も縮小されている。

 児相の現場からは「これまでより、問題が表面化するまで時間がかかる」との声が上がる。地域で見守る仕組みを強化することが欠かせない。

 教育や福祉、警察などの関係者が連携する「要保護児童対策地域協議会」はあるが、相談の増加に対応しきれていないという。民間の団体をメンバーに加えて子どもを支援しているケースもある。他の自治体は参考にしてほしい。

 子どもの目の前で、配偶者に暴力を振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」の増加も気がかりだ。

 相談内容別では、面前DVを含む心理的虐待が約6割を占めた。感染拡大を受けて、テレワークなどで在宅時間が増えたことが影響したと指摘されている。

 子どもの成長に及ぼす影響は看過できない。幼児期に経験すると親子の結びつきが損なわれたり、不登校につながったりすることがあるという。

 DVがあった家庭では、子どもも身体的な暴力を受けているケースが少なくない。児相が親と面談する際、DV被害者を支援する機関のスタッフが同行するなどの連携が重要だ。

 コロナ禍で社会活動が制限される中、家庭が孤立しやすくなっている。虐待が見過ごされることがないよう、これまで以上に社会全体で目配りしていかなければならない。

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