工藤会「鉄の結束」崩した捜査 キーマンが語る「頂上」までの軌跡
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全国で唯一の特定危険指定暴力団「工藤会」(北九州市)トップで総裁の野村悟被告(74)に極刑が言い渡された8月24日の福岡地裁判決。警察と検察にとっては2014年9月に始まった「頂上作戦」の一つの到達点だ。かつては工藤会の関与が疑われる殺人や放火などの未解決事件が相次ぎ、地元は「修羅の国」ともやゆされてきた。捜査当局はどうやって反攻に転じたのか。作戦着手から間もなく7年。キーマンたちの証言から捜査の舞台裏を再現する。
「君の使命は工藤会退治だ」。13年4月、福岡地検小倉支部長に着任した天野和生氏(67)は執務室で上司の言葉を思い出し、身震いするように気合を入れた。大阪地検時代、山口組最高幹部の拳銃不法所持事件の公判を担当するなど、自他共に認める暴力団事件のエキスパートだった。「血を流すポジションだと思っている。覚悟してほしい」。家族にもこう伝えていた。
工藤会の理事長だった野村被告が会長に就任した00年以降、組織の関与が疑われる事件が頻発。北九州市のクラブ「ぼおるど」に手投げ弾が投げ込まれたり、暴排標章を掲示した飲食店関係者が切りつけられたりするなど、市民が標的となる事件が相次いだ。12年12月、工藤会は全国で唯一の特定危険指定暴力団に指定されたが、その動きは収まるどころか活発さを増していた。
まず取り組んだのが、福岡県警との協力関係の再構築だった。当時、県警は検察側に対し…
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