オフコースを推したパーソナリティー逝く 伝えた「人のぬくもり」

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滝良子さん=ニッポン放送提供
滝良子さん=ニッポン放送提供

 まだスマートフォンも、コンビニもないころ。日曜日の深夜、ある1時間のラジオ番組が人気を集めた。ニッポン放送の「全日空ミュージックスカイホリデー」(1976~84年)。パーソナリティーは「そらまめ」の愛称で慕われた滝良子さんだった。親しみある声とトーク、売れる前のオフコースなどを見いだす確かな目が若者に支持された。そんなそらまめさんが、8月17日に亡くなった。人のつながり、ぬくもりを大切にした姿に、元リスナーや関係者が思いを寄せている。【油井雅和/デジタル報道センター】

「触れ合うような時代の終わり」

 9月6日未明にニッポン放送で生放送された、滝さんの追悼番組「そらまめさん、ありがとう~ミュージックスカイホリデー増刊号」。メッセージを寄せたのは、元オフコースの小田和正さん、鈴木康博さんだった。小田さんは、青春時代に寄り添ってくれたそらまめさんをこうしのんだ。

 「あのころラジオは若者文化を圧倒的に先導していたので、アーティストにとって応援してくれるパーソナリティーは、とても力になる存在でしたが、僕らはちょっと偏屈だったので、そんな人にはなかなかめぐり合うことはありませんでした。そんな中、唯一親しくしていただいたのが、滝良子さんでした」

 「滝さんはファンと僕らの間を、自分の思いも少しだけ交えながら上手につないでくれたのです。信頼と安心、あのころだから成立した関係だったかもしれません。みんな本当に若かった。触れ合うような時代はいよいよ終わろうとしているように見えます。それを継いでいかないで良かったのでしょうか。その一端を担ったあなたの目は、今をどうとらえていたのか。聞いてみたかった。残念です」

オフコースの新曲なら、ここで

 仕事や学校が始まる月曜が翌日に迫ると、ちょっと憂鬱になってしまう。そんな日曜日、午後11時の時報を合図に「シャイニングスカイ」が流れた。青い空を自由に羽ばたいていくことを歌った、スカイホリデーのメインテーマ曲。作詞は「この木なんの木」のフレーズで知られるCM曲や、「かもめが翔んだ日」などのヒット曲を出した伊藤アキラさん(2021年5月に死去)が手がけた。

 海外旅行どころか飛行機の運賃も安くなかった時代。リスナーだった記者も、午後11時になると青空の下にいるような開放感に包まれた。AMラジオは特に深夜帯は電波が遠くまで届く。窓際にラジオを置き、雑音が混じった番組を聴いていた人も多かったはずだ。

 「そらまめ」は、TBSラジオの深夜番組で同じ時期のパーソナリティーだった愛川欽也さんが命名したとされる。愛川さんは親しみを込めて「まめ」と呼び捨てにしたらしい。

 そらまめさんは、まだブレークしていなかったころからオフコースの曲をよく選んだ。「秋の旅」は、何度聞こえてきただろうか。新曲が最も早く解禁されるのがスカイホリデーだったから、オフコースのファンにとってチェックは欠かせなかった。

 79年12月リリースの「さよなら」が大ヒットすると、スタジオにやって来た小田さんに、そらまめさんは「売れて良かったね」と声をかけた。小田さんは「本当に良かった。売れないと駄目だよね」としみじみ漏らした。

番組の人気はトップへ

 スカイホリデーの開始当初、独身だったそらまめさん。同じ独身女性を応援しようと、番組の企画で「うば桜の会」を立ち上げ、会長として女性たちの悩みに耳を傾け続けた。自身の結婚を発表する際は、裏切りと受け止められることを恐れて心配そうだった。しかし、届いたはがきには祝福が並んでいた。「俺のそらまめを奪ったやつはどこのどいつだ。不幸にしたら承知しないぞ」とのメッセージもあった。

 ス…

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