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菅政権「パンケーキで異論封殺」 映画プロデューサーが見た退陣

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菅政権を批判した映画「パンケーキを毒見する」のポスター Ⓒ2021「パンケーキを毒見する」製作委員会
菅政権を批判した映画「パンケーキを毒見する」のポスター Ⓒ2021「パンケーキを毒見する」製作委員会

 菅義偉首相が退陣する意向を表明した。折しも、菅首相の実態に迫ったドキュメンタリー映画「パンケーキを毒見する」が全国で公開中。仕掛け人であり、権力に屈しない映画作りで知られるプロデューサーの河村光庸(みつのぶ)さんに感想を聞いた。【大野友嘉子/デジタル報道センター】

権力維持に腐心し失敗

 ――映画「パンケーキを毒見する」では、政治家や元官僚らに菅首相について語らせながら、菅首相の過去の国会答弁などを検証し、ユーモアも交えつつ痛烈に批判しています。退陣するのは当然のことと思いましたか。

 ◆菅首相の新型コロナウイルス対策を見ても、東京オリンピックを強行したことを見ても、いかに権力を維持するかということにとらわれており、失敗し続けたと思います。権力志向の強い人ですから、首相の座に固執する可能性もあると考えていました。菅首相には政治家としての理念やビジョンは見えませんが、権力を維持することには貪欲な人です。コロナの感染拡大がなく、五輪が普通に開催されて成功を収めていれば、独裁政権になりかねなかったと思っています。その懸念があったから、私はこの映画を作りました。

 ――菅首相が昨年秋に就任して早々、日本学術会議が推薦した新会員候補者のうち6人を任命拒否した問題が取り沙汰されました。

 ◆はい。自身の権力を守るためには、異論を排除するという菅首相の常とう手段がいきなり飛び出しました。元々、官僚の人事権を掌握して意のままに動かそうとしてきた人です。官邸に権力を一極集中させるという、(菅首相が官房長官を務めた)第2次安倍政権がやっていたことを、そのまま引き継いだのです。

 (安倍・菅政権で)長年にわたって強引な官邸主導政治を見てきた国民の間には、声を上げても届かない、政策に反映されない、といったあきらめ感が広がったように思います。

コロナで小手先の政策を乱発

 ――菅政権発足直後の内閣支持率は、毎日新聞の世論調査で64%ありました。安倍政権で森友・加計学園問題や「桜を見る会」問題などが続いたこともあり、菅政権に対して世論の期待感がなかったわけではなさそうですが。

 ◆64%という数字は、期待というよりも(歴代の政権発足当初は支持率が高いという)惰性だと思います。誰が政治をやっても生活は変わらないという思いもあるでしょう。

 ただ、コロナ禍で世間のそうしたムードは少しは…

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