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秋元議員に実刑判決 根深い政治腐敗への断罪

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 カジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡り、収賄罪などに問われた秋元司衆院議員に、東京地裁が懲役4年の実刑判決を言い渡した。

 「公人としての倫理観はおろか、最低限の順法精神すら欠如している」と結論づけた。政治腐敗を厳しく断罪するものだ。

 判決は秋元議員が、IR事業への参入を目指していた中国企業から、計758万円相当の賄賂を受け取ったと認定した。

 当時は、IR担当の副大臣を務めていた。特定の企業との癒着は言語道断である。

 特に悪質とされたのが、証人買収の罪だ。賄賂の授受はなかったとの虚偽の証言を裁判でさせるため、贈賄側を買収しようとしたという。

 判決は、収賄だけであれば執行猶予の余地があったと指摘し、「前代未聞の司法妨害」と強く非難した。公正であるべき刑事裁判をゆがめる行為だ。

 秋元議員は全面的に無罪を主張している。しかし、贈賄側や証人買収に関与した人がいずれも起訴内容を認めた。資金を用意した証拠も見つかっており、言い分は説得力に乏しかった。

 即日控訴し、今後も政治活動を続ける意向という。だが、有権者の信頼は大きく損なわれている。有罪判決が出た事実を重く受け止め、直ちに議員辞職すべきだ。

 事件は、カジノを取り巻く不透明な資金の流れと、利権を生む構造を浮き彫りにした。

 贈賄側の中国企業は、他の国会議員にも現金を提供しており、幅広く政界工作をしていた。

 カジノを巡っては、反社会的勢力による悪用や、周囲の治安悪化の懸念もある。ギャンブル依存症になる人が増えるのではないかと心配されている。

 誘致を進めていた横浜市では、反対派の市長が当選した。コロナ禍でIR整備による成長戦略は破綻している。

 今年に入り、「政治とカネ」の問題で有罪の司法判断を受けた国会議員は、辞職した人を含め4人目だ。ゆゆしき事態である。

 全員が自民党の所属だった。党は真摯(しんし)に反省し、問題の根絶と信頼回復に向け、総裁選できちんと議論しなければならない。

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