任命拒否につながる首相の「説明しない」体質 元会長が語る舞台裏
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菅義偉首相が日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否してから、まもなく1年。従来の政府見解では「政府が行うのは形式的任命にすぎない」とされていた会員人事への介入は、菅氏の官房長官時代に始まったとされ、首相就任から間もない昨年9月28日、学術会議側が推薦した候補から6人を除いた99人を任命する人事案を決裁した。なぜ介入にこだわったのか――。2011~17年に学術会議会長を務め、官房長官だった菅氏へ数回にわたり人事案の説明をしてきた大西隆・東京大名誉教授(都市工学)が、当時の経緯を踏まえつつ、菅氏の政治手法を論評した。【聞き手・岩崎歩/科学環境部】
他の政策と共通する「乱暴な手法」
――当時、官房長官としての菅首相の役割をどう見ていましたか。
◆学術会議の会員候補についても、結局は担当の官房副長官が「前さばき」をして、菅さんはある程度そこに任せていたように思います。官房長官だった菅さんに私が会いに行くのは、副長官への説明が終わった後でした。菅さんのところで追加質問が出ることはありませんでした。こちらとしては、話の糸口として最近の学術会議の活動について話題を持っていきましたが、話し込んだという記憶もありません。学術会議にはあまり関心がないという印象でした。
――無関心のように見えていたようですが、菅首相は就任直後、会員候補6人の任命を拒否し、最後までかたくなでした。
◆リーダーは一度決めたことは変えるべきではない、と思い込んだのでしょうが、この任命拒否は首相の権限を逸脱しています。学術会議の会員人事は、日本学術会議法で選考基準や手続きが細かく規定されています。一般の省庁人事とは訳が違い、相当な理由がない限り、首相の一存で拒否すれば法に反します。おそらくは、官房副長官らから上がってきた案に安易にゴーサインしてしまったのでしょう。結局は、問答無用で任命拒否するという乱暴なやり方が他の政策にも表れ、「説明がない」「不誠実だ」という批判を招くことにつながったのだと思います。
――菅首相が総裁選への不出馬を表明し、解決しないまま退陣になります。
◆政治家は本来、…
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