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コロナ対策「失敗」に学ぶ 畑村洋太郎・東大名誉教授 病床不足厳格に検証を 「慣れ」で情報伝わらない危険性

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畑村洋太郎さん=藤井太郎撮影
畑村洋太郎さん=藤井太郎撮影

 日本での新型コロナウイルスによる死者数は8月末に1万6000人を超えた。国の対策は後手後手で、大都市を中心に病床は逼迫(ひっぱく)し、「自宅療養」を強いられた一部の感染者が入院できないまま死亡して見つかるケースが報じられている。失敗の原因を究明して次に生かす「失敗学」を提唱したあの人は、どう見ているのだろうか。東京大名誉教授の畑村洋太郎さん(80)を訪ねた。

 「コロナ感染者の病床が足りていない現状は極めて危機的です。危機管理が機能していないことが露呈しているわけで、国の将来を左右しかねない深刻な失敗と捉え、改善しないとだめです。この国はどうしてしまったのでしょうか」。温厚な畑村さんが熱っぽく語り始めた。

 横浜港に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で集団感染が判明したのは2020年2月のことだ。「このウイルスには極めて高い感染力があって、感染すれば死に至りうることを、私たちは、世界に先駆けてまざまざと見せつけられたはずです。その後の1年半という貴重な時間を、私たちは浪費してしまった。いまだに私たちはコロナと闘う最低限の備えを持っていないのです」

 この種のウイルスは容易に変異し、波状に感染を拡大して被害を深刻化させることは、1年半前の時点で、ウイルス専門家たちが指摘していた。「高機能なフルスペックの病棟が必要だという話ではありません。その100分の1、1000分の1のコストで開設できる野戦病院(臨時医療施設)のようなものがあれば、助けられる命があったはずなんです」

 畑村さんによると、日本では明治維新のころから一貫して成功や成長をとにかく重視し、…

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