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私が思う日本

東京に駐在する外国メディアの特派員たちが見た日本の姿を伝えます。

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苦境の焼酎メーカーにジンの光明 ブーム去り挽回へ うまさに共通点

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ジンを造る蒸留器。奥は日本酒の酒蔵=長崎県佐世保市城間町の梅ケ枝酒造で2020年4月9日午後3時31分、今野悠貴撮影
ジンを造る蒸留器。奥は日本酒の酒蔵=長崎県佐世保市城間町の梅ケ枝酒造で2020年4月9日午後3時31分、今野悠貴撮影

 東京に駐在する外国メディア特派員の目に、私たちの社会はどう映っているのだろうか。韓国、フランス、米国、バングラデシュ、シンガポールの個性豊かな記者たちがつづるコラム「私が思う日本」。第21回は、ルモンド紙(フランス)のフィリップ・メスメール東京特派員が、焼酎ブームが去った日本での、蒸留酒ジンの新たな可能性について語る。

   ◇

 日本は郷土色豊かなさまざまな地方食材で知られる国だ。旅は、それらを知る良い機会となるが、時にはこの国の伝統にはない新しいグルメを見つけることもある。長崎県壱岐市での7月の取材は私にとって、すばらしい和製のジンとの出合いの場となった。ジンを製造しているのは、これもまた上質で有名な壱岐焼酎のメーカーだった。

 焼酎人気に陰りが出ている日本で、焼酎メーカーは挽回策を懸命に模索し、できれば若者に振り向いてもらおうと奮闘している。そこから生み出されたイノベーションの一つが、クラフトジンだ。

 焼酎メーカーにとってジンには利点がある。中世のオランダで生まれ、17世紀以降、英国で普及したこの名高い酒は、焼酎と同じ蒸留酒で、製造方法も似ている。異なるのが原料だが、実がジンの香り付けに使われる針葉樹のネズは、日本でも自生している。

 最近の和製ジンのブームが始まったのが、壱岐島だった。この島の「重家酒造」は今年7月、独自のジンの販売を開始した。創業家の跡取りである横山雄三代表取締役兼焼酎杜氏(とうじ)は今から5年前、ジンのプロジェクトを思いついた。その…

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