特集

入管・難民問題

国外退去処分になった外国人の入国管理施設での扱いが注目を集めています。難⺠に厳しいと言われる日本。人権は守られている︖

特集一覧

在日33年スリランカ出身の大学教授が考える入管問題と本当の「共生」

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
「もっと『違い』を楽しんだ方がいい」と話す羽衣国際大教授のにしゃんたさん=京都市上京区で2021年8月24日、山崎一輝撮影
「もっと『違い』を楽しんだ方がいい」と話す羽衣国際大教授のにしゃんたさん=京都市上京区で2021年8月24日、山崎一輝撮影

 スリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が2021年3月、名古屋出入国在留管理局の施設で、十分な医療を受けられないまま病死した。半年がたった今も入管側の説明は不十分で、詳しい経緯は不明だ。同じスリランカ出身のタレントで羽衣国際大教授、にしゃんたさん(52)=京都市=は、入管側の問題点を指摘するとともに、日本社会に漂う「余裕のなさ」が背景にある、と言う。「多様性」や「共生」という言葉が盛んに使われるが、本当に実現できているのか。一緒に考えた。【鵜塚健】

発表遅れ、注目集まらないように?

 日本に暮らして33年。軽妙な語り口のにしゃんたさんだが、ウィシュマさんの話になると、雑談中の柔和な笑顔が一気に曇った。

 「いやあ、ありえないですよ」。入管の最終報告書(8月10日発表)や遺族への説明によると、ぐったりしたウィシュマさんを見ながら入管職員らは冗談を放ったり、体の上をまたいだりしたという。一方で、13日分あるとされるビデオ映像は当初非公開とされ、遅れて一部だけが公開された。「『保安上の理由で公開できない』って、一体何ですか。隠したいことがあるからでしょう」。報告書は、医療体制の不備や職員の人権意識の不足等の問題を指摘したが、職員の過失や収容の是非には触れていない。4人の職員への処分は訓告と厳重注意。「人が死んでいるのに軽すぎませんか」。6月、愛知県の大学教員の男性が入管職員を殺人容疑などで告発している。

 最終報告書の発表時期にも首をかしげる。「東京五輪が終わり、パラリンピックが始まる前。どう見ても、世界の関心が集まらないようにするためでしょう」

 当初は発言を控えていた。「同じ出身国だし、何を言っても『バイアスがかかっている』と見られますから。でも、(入管側の対応が)あまりにひどくて……」。ウィシュマさんの妹は「スリランカのような貧しい国から来たから(日本政府は)私たちを振り回したり、怒らせたりするのでしょうか」と報道陣に訴えた。にしゃんたさんもうなずく。「白人だったら、米国人だったら、同じことをしますかね。日本での外国人は、どこの国籍なのかでも運命が変わることがある。非白人の私たちはちょっとしたミスをしても『負の連鎖』が起きるんですよ」

 ウィシュマさんは17年に来日。日本語学校に通っていたが、在留資格を喪失。弁当工場などで働いていたが、同居男性の暴力に遭い、居場所を失った。出頭した警察で非正規滞在だとして拘束され、20年8月に入管に収容後、急速に体調を悪化させて死に至った。状況の変化は、まさに坂を転げ落ちるようだ。

「君か、オーバーステイの」見下す口調

 世代は違うが、にしゃんたさんも事情が似ている。1988年に19歳で来日。ウィシュマさん同様、…

この記事は有料記事です。

残り2302文字(全文3448文字)

【入管・難民問題】

時系列で見る

関連記事

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る

ニュース特集