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抗体減少でワクチン効果は 鍵握る「メモリー細胞」の働きに迫る

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新型コロナウイルスのデルタ株=国立感染症研究所提供
新型コロナウイルスのデルタ株=国立感染症研究所提供

 新型コロナウイルスワクチンの接種者が感染する「ブレークスルー感染」が注目を集め、先進国を中心に「ブースター」と呼ばれる追加接種を検討する動きが広がっている。その背景として注目されているのが、接種から一定期間が経過するとワクチンで得られた免疫を担う抗体が体内で減少してしまうことだ。しかし、抗体は免疫機能の一翼で、何重にも及ぶメカニズムが備わる。ワクチンの効果は長続きするのだろうか。【三股智子、渡辺諒】

接種進む国で流行再拡大

 インドで見つかった、感染力が強い変異株「デルタ株」の流行などで、ワクチン接種が進む国で流行の再拡大が起きている。

 昨年12月から接種が始まったイスラエルでは、春には感染者が大幅に減少した。しかし、6月のロックダウンの解除やデルタ株の影響などから増加に転じた。同国の研究グループは、今年2月までにコロナに感染して免疫を獲得した人と、ワクチンで免疫を獲得した人を比較し、デルタ株への感染のしやすさなどを調べた。ワクチン接種者がブレークスルー感染するリスクは13倍も高く、症状が出るリスクは27倍で、60歳以上でさらに高い傾向があったという。変異株にはワクチンで得た免疫が効きにくく、再拡大の一因になっている可能性がある。

 感染再拡大の原因として注目されているのは変異株だけではない。本来はワクチンを接種すると、体内に抗体が作られ、ウイルスが侵入してきた時に攻撃するため、感染を防げる。しかし、新型コロナワクチンを巡っては、接種から時間が経過するにつれ、体内の抗体が減ってきているとの研究報告が国内外から相次いで出ている。

 藤田医科大(愛知県豊明市)は8月下旬、米ファイザー社製のワクチンを接種した職員209人を調べたところ、1回目の接種から約3カ月後に、血液中の抗体の量が2回目接種直後に比べて、約4分の1に減少したことを明らかにした。米ケース・ウエスタン・リザーブ大の研究チームも、ファイザー社製ワクチンを接種した医療・介護施設入所者と医療従事者計約210人を調べたところ、抗体量が半年間で8割以上減少したという。

 藤田医科大の研究チームは「国内外のデータと似た傾向だ。ただし、抗体は一つの指標であって、4分の1に減ったからといって、効果も4分の1になるわけではない」と解説。米国の研究チームも、「抗体量の低下による実際の影響を知る必要がある」としている。

 実際にはブレークスルー感染が起きても、ワクチン接種者の重症化や死亡のリスクは低く抑えられている。…

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