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本村凌二・評 『中世の写本ができるまで』=クリストファー・デ・ハメル著、加藤磨珠枝・監修、立石光子・訳

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『中世の写本ができるまで』
『中世の写本ができるまで』

 (白水社・4950円)

<知>の伝達の神髄へいざなう

 人間がほかの動物と異なるのは、人類の過去の経験や知識を身につけられるからにほかならない。ヨーロッパでは、印刷術が拡(ひろ)がるルネサンス期まで千数百年にわたって、写本が制作されてきた。本書は、その工程について「紙と羊皮紙」「インクと文字(スクリプト)」「彩飾と装丁」の項目の下で、七九点の美しいカラー図版とともに語っており、わくわくするような読書体験ができる。

 まずもっての疑問は、これらの中世写本は修道士が作ったのかという点にある。たしかに、十二世紀までは写本は修道院か教会で制作されていた。だが、それ以後、書物が増えだすと、修道院は俗人の写字生(しゃじせい)と写本画家を雇って、共同で書物を制作させたという。やがて、世俗の工房が写本を筆写・装飾して広く販売するようになったらしい。

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