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(中公新書・1012円)
20世紀の戦争の終わらせ方を歴史と理論で切り取り、「出口戦略」を考えるきっかけを提示しようという大胆な試み。著者千々和泰明氏は、戦争終結の形態は、「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」のジレンマの中で決まるというアプローチを本書で取っている。全6章で、第一次世界大戦に始まり、アフガン・イラク戦争に至る20世紀の主要な戦争の終わり方が扱われている。
米バイデン政権のアフガン撤退作戦は、本書の立場からは問題を解決しない「妥協的和平」だろう。では、「根本的解決」を求めてさらに20年戦争を続ければ、問題は解決するのか。戦争はクラウゼヴィッツの時代より、たくさんある政治の手法の一つに過ぎない。戦争を万能薬のように考え、他の手段を組み込んだ「頭の体操」に失敗したことが、アメリカのつまずきの元とも考えられる。
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