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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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亡き妻へ「来世で会うべ」 10年経て石碑に名刻み、伝承へ一歩

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石碑に刻まれた恵美子さんの名前に触れ、「いつかまた、どこかで会おう」と語り掛ける山岸黎治さん=岩手県大船渡市綾里で2021年8月31日、山田豊撮影
石碑に刻まれた恵美子さんの名前に触れ、「いつかまた、どこかで会おう」と語り掛ける山岸黎治さん=岩手県大船渡市綾里で2021年8月31日、山田豊撮影

 東日本大震災から11日で10年半――。妻を津波で亡くした岩手県大船渡市の山岸黎治(れいじ)さん(83)は、あの日を振り返らないようにこの10年あまりを過ごしてきた。そばに居るのが当たり前だった妻がいない日常。「空気のような存在だった。空気だから、いないととても苦しい」と胸の内を明かす。ようやく今年3月、自宅近くの石碑に妻の名前を刻むことができた。【山田豊】

 山岸さんは綾里地区で生まれ育ち、大阪の大学を卒業後は故郷で父が経営する海運業を手伝った。35歳の時、お見合いで出会ったのが妻の恵美子さん(震災当時68歳)だ。宮城県気仙沼市出身で5歳年下。落ち着いた雰囲気の物静かな女性だった。1974年に長男の中(あたる)さん(46)、79年に長女の美和さん(42)を授かった。

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【東日本大震災】

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