コードネームは「OSO18」 牛襲うヒグマ、忍者並みの警戒心
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「OSO(オソ)18」。北海道東部で放牧中の牛を相次いで襲っているヒグマのコードネームだ。近年まれに見る大型の雄で、2019年7月に初めて乳牛が襲われた標茶(しべちゃ)町下オソツベツの地名と、前脚の跡の巨大さ(幅18センチ)にちなんで、関係者はこう呼ぶ。今年に入って隣接する厚岸(あっけし)町にも被害が拡大。このヒグマに襲われたとみられる牛は2年余りで計55頭に上り、うち26頭が死んだが、捕獲の見通しは立っていない。【本間浩昭】
7月16日、厚岸町セタニウシの町営牧場で育成牛3頭が死んでいるのが見つかり、いずれもヒグマによるとみられる爪痕や腹をかまれた痕などが確認された。牛を放牧している二つの町営牧場はいずれも標茶町との境にあり、厚岸町は捕獲用の箱わな1基を特注していたが、「招かれざる客」の越境には間に合わなかった。「越境の方が早かった」と同町の鈴木康史環境林務課長は残念がる。
襲われた牛は8月までの1カ月間で4件、計9頭に上り、うち7頭が死んだ。さらなる被害を防ぐため、町営牧場に預けられていた育成牛など約800頭は舎飼いに切り替えたり、酪農家に返却したりして「疎開」させた。
標茶町でも今年に入って計15頭が襲われている。同町で襲われた牛は計46頭に上り、うち19頭が死んだ。
道立総合研究機構エネルギー・環境・地質研究所(札幌市)が厚岸町片無去(かたむさり)の牧場で7月13日に採取されたヒグマの体毛のDNAを分析した結果、昨年まで標茶町で牛を襲っていた「OSO18」のDNA型と一致。他の場所で採取された体毛のDNA型とも複数一致した。18センチもある前脚の跡の幅などから、同研究所は「近年では珍しい巨大な雄の可能性が高い」とみる。
襲った牛食べず、「もてあそぶ様子も」
OSO18は、一般的なヒグマとはかなり異なる習性を持…
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