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入管・難民問題

国外退去処分になった外国人の入国管理施設での扱いが注目を集めています。難⺠に厳しいと言われる日本。人権は守られている︖

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内向きで自己完結、入管の脆弱性 ロバート・キャンベルさんの視点

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ウィシュマさんの写真とともに、野党参院議員が東京都内で行った入管職員のヒアリングに参加する、妹で次女のワユミさん(左)と三女のポールニマさん=2021年8月20日午前11時29分、和田浩明撮影
ウィシュマさんの写真とともに、野党参院議員が東京都内で行った入管職員のヒアリングに参加する、妹で次女のワユミさん(左)と三女のポールニマさん=2021年8月20日午前11時29分、和田浩明撮影

 スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で死亡してから9月で半年。出入国在留管理庁は8月に死亡した経緯に関する調査報告書を公表し、同庁を管轄する上川陽子法相は記者会見で改善を約束した。入管は本当に変われるのだろうか。日本社会と外国人などマイノリティーの関係を見つめてきた米国出身の日本文学者ロバート・キャンベル早稲田大学特命教授(63)に見解を聞いてみた。詳細を紹介する。【和田浩明/デジタル報道センター】

 まず、ウィシュマさんがどのように亡くなったのか、入管庁の報告書などを元に振り返ってみよう。

 2017年に日本語学習のため来日後、20年8月20日にビザのオーバーステイで名古屋入管に収容され、退去強制令書の発付を受けたが、後に残留希望に転じた。収容中の21年1月中旬ごろから体調不良を訴え、下旬には「容体観察」のため監視カメラがある単独室に移された。吐き気や手足のしびれなど体調悪化は深刻化を続ける。この間、健康上の理由などから一時的に収容を解く「仮放免」や、外部病院での点滴、入院を繰り返し求めたが受け入れられず、3月6日に緊急搬送先の病院で死亡が確認された。

 つまり、看守の目が四六時中注がれる中、死に至ったのだ。なぜ助けられなかったのか。誰しもそう思うだろう。

 報告書はウィシュマさんへの医療的対応について「幹部が被収容者の体調を把握し、必要な対応を検討・指示するための体制が整備されていなかった」と指摘する。対応していた職員の間には「仮放免を受けるための(病状の)誇張もあるとの認識」があった。

 亡くなった当日は土曜日。名古屋入管では非常勤医師が週2回各2時間などの勤務で休日は不在だ。この日は、午前8時12分に看守が血圧と脈拍を測定しようとしたが、測定できなかった。その後も問いかけに反応しない状態が続いた。しかし、看守は「ねえ、薬きまってる?」と発言していた。ウィシュマさんは3月4日に診察を受けた外部病院で向精神薬と睡眠誘導剤を処方され服用していた。この発言について報告書は「不適切な発言」と指摘している。

 結局、別の看守が救急搬送を電話で要請したのは午後2時15分。脈拍・血圧の測定不能から6時間以上たっていた。死亡確認は午後3時25分だった。

「期待される人道的扱いと乖離」

 こうした経緯について、自らも報告書や各種報道に目を通した上でキャンベルさんは言う。「突然元気な人が亡くなったわけではありません。亡くなる前の容体を考えると医者を呼ぶべきなのに呼んで…

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