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わたしのふるさと便

あまり知られていない観光スポットや地元で人気の食べ物を、現地で勤務する支局長が紹介。47都道府県を巡ります。

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わたしの穴場 愛知県 「名古屋市・大須商店街」 日本一のごった煮 案内人・講談師 旭堂鱗林さん

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アーケードには玉転がしで使用された金の玉がぶら下がる=名古屋市中区で8月16日、兵藤公治撮影 拡大
アーケードには玉転がしで使用された金の玉がぶら下がる=名古屋市中区で8月16日、兵藤公治撮影

 さあさ、お立ち会い。講談師の旭堂鱗林と申します。このたびは私もなじみ深い名古屋の大須商店街をご紹介させていただきます。

 え? 大須は穴場じゃない。お客さまからそんな声が聞こえてまいりました。確かに名古屋市が5年ほど前、行きたい市内の名所を市民にたずねたところ、わが大須は26.8%。天下の名古屋城を0.5ポイント差で抑えたのでありました。

 ところがどっこい、他の全国7大都市のみなさまも含めて同じ質問をすると、大須はわずか6.7%で、市民イチオシ商店街の全国的な知名度はやや低めと判明。これはマズイ! 不肖・鱗林がPRに立ち上がりました。

[1]=名古屋市中区で8月16日、兵藤公治撮影 拡大
[1]=名古屋市中区で8月16日、兵藤公治撮影
[2]=名古屋市中区で8月16日、兵藤公治撮影 拡大
[2]=名古屋市中区で8月16日、兵藤公治撮影

 さて、大須とはどんな町か。一言で言うと、老若男女が集う、日本一元気なごった煮の町であります。名古屋の城下町整備が本格化した400年前に移転してきた地名の由来となる大須観音=写真[1]=や万松寺など寺社の多さが特徴。参拝客をあてこんだ芝居小屋や映画館が並んだ時代もありました。私がお世話になる大須演芸場=同[2]=もその歴史を受け継ぎます。

[3]=名古屋市中区で8月16日、兵藤公治撮影 拡大
[3]=名古屋市中区で8月16日、兵藤公治撮影

 さらに地域有数の電気街には、アニメやゲーム好きのみなさんが集い、若者に人気のアメカジショップ=同[3]=や、和服を取り扱う古着屋さんなどお店もよりどりみどり。リサイクルチェーン「コメ兵」の発祥の地でもあるのです。

[4]=名古屋市中区で8月16日、兵藤公治撮影 拡大
[4]=名古屋市中区で8月16日、兵藤公治撮影

 カオス感はグルメ方面も同様。みそ煮込みうどんやきしめん、鳥料理やひつまぶしなどの「名古屋めし」はもちろん、台湾ラーメンで有名な老舗、フランス、イタリア料理、渋いバーなどデートにぴったりな店から、中南米、ベトナム、トルコ、インドなどの新興勢力までまさに食の国連総会状態=同[4]。浅草と秋葉原が合体したような空間で、諸国漫遊気分で食を堪能。お値打ちの家電製品やブランド品も調達し、み仏のありがたい御利益まで得られる。約3.5平方キロにこれだけのお楽しみが集まる場所って、ほかにご存じ?

 こんな素晴らしい大須も七転び八起きの連続でした。明治は大火、昭和は空襲。高度成長期は新しい地下街やデパートに客を奪われ、「おーすいとるがやー」とやゆされたことも。

 しかし、いつの時代も復活を支えたのは「そんなこと言っとる場合でにゃーだろう」とあきらめない地域のみなさまのきずなと底力。近年は大道芸人の祭典や世界コスプレサミットで活気を呼び込んでいます。

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 商店街も、コロナ禍で厳しい時期が続きますが、斬新なアイデアを出し合う「やったるがや精神」は健在でしょう。アーケード街で繰り広げた直径3メートルの巨大玉転がしでゴールの瞬間、必死の形相のいい年のおっさんたちが「たまげた~」と連呼し合ったあの日を思い浮かべる鱗林でありました。

 あーだこうだと言うてまいりましたが、今日のお話はまだ氷山の一角。これからもみなさま、大須商店街をぜひ、ぜひ、ごひいきに!【聞き手=中部報道センター室長・本多健】


次回は群馬県です

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 ■人物略歴

旭堂鱗林(きょくどう・りんりん)さん

 1973年、名古屋市熱田区生まれ。幼稚園教諭、タレント業などを経て2006年から上方講談師の旭堂南鱗の講談道場に通う。17年なみはや講談協会員となり、ラジオパーソナリティーとしても活動中。名古屋観光文化交流特命大使。

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