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活況!!オンラインツアー コロナ禍、旅行業再生のヒント 高齢者ら多様なニーズに対応も

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パソコンの画面を通じて、現地のガイドが散策しながら街をライブで紹介してくれる=8月20日午後8時過ぎ、宇田川恵撮影(画像の一部を加工しています)
パソコンの画面を通じて、現地のガイドが散策しながら街をライブで紹介してくれる=8月20日午後8時過ぎ、宇田川恵撮影(画像の一部を加工しています)

 この夏、多くの人のイライラを少し和らげ、秋のシルバーウイークに向けて注目を集めているのが「オンラインツアー」だ。パソコンなどで旅気分を味わうことができ、利用者はじわじわ広がっている。「新しい旅の形」とも言えるこのツアー、コロナ禍に苦しむ旅行業の再生に何かヒントを示しているようでもある。

 「街を焼き払え」と叫ぶスウェーデン軍の将軍の前に、「どうか許してください」とひざまずいたのは幼い子どもたちだった。将軍は直前に亡くした3歳の息子が重なり、哀れに思って矛を収めた。1632年、ドイツ南部の地方都市ディンケルスビュールで実際に起きた話だ。約400年たつ今も、街を救った子どもたちに感謝する祭りが毎年開かれている――。同地を訪ねるオンラインツアー「おうちでヨーロッパ旅」(JTB)に参加すると、ガイドがそう紹介してくれた。思わずほろっとし、パソコンの画面に浮かぶ古風な街並みが心にしみてきた。

 オンラインツアーは、現地から映像がライブ配信され、利用者はビデオ会議システム「Zoom」などを使いパソコンやスマートフォンで視聴する。チャット機能で会話ができるものもある。

 私が参加したのは、ディンケルスビュールの旧市街を散策する1時間強の旅。時差があるため日本時間の午後8時から始まった。中世の遺産が豊かなこの街は交通事情が悪く、実際には訪ねにくい。私も「初訪問」だったが、おもちゃのようなカラフルな木組みの建物にすぐ吸い寄せられた。ふとオレンジ色の壁が多いのが気になり、チャットで「色に意味はあるのですか」と聞いてみた。周辺は文化財保存地区に指定され、行政の許可が必要だと説明したうえで、ガイドは「色は基本的に好みで選べます。特に明るい色が好かれるようですね」と口頭で返してくれた。テレビなどと違って、双方向で意思疎通できるのも面白い。

 コロナ禍にみまわれた2020年春以降、旅行各社は「リアル旅行の代わりに」と、オンラインツアーを相次ぎ導入した。同年夏から始めたJTBはベテランガイドらが案内する約60の厳選コースを備え、既に約2万2000人が参加。「修学旅行」として9000人超の子どもたちも体験している。エイチ・アイ・エス(HIS)は同年春に開始し、21年6月までに利用者は10万人を突破。特にケニアで野生動物を探すサファリツアーが人気で、ほぼ毎回100人以上が参加するそうだ。

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