ネット上の中傷対策、侮辱罪に懲役刑導入 法制審総会で諮問へ

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写真はイメージ=ゲッティ 拡大
写真はイメージ=ゲッティ

 インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策として、上川陽子法相は14日、刑法の侮辱罪を厳罰化する法改正を16日の法制審議会(法相の諮問機関)総会に諮問すると発表した。侮辱罪の罰則は刑法で最も軽い「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」と規定されているが、新たに懲役や禁錮刑を導入する。

 上川法相は閣議後の記者会見で「ネット上の誹謗中傷は同様の書き込みを次々と誘発することがあり、取り返しのつかない重大な人権侵害につながる。厳正に対処すべき犯罪であることを示し、抑止することが必要だ」と述べた。

 侮辱罪は、不特定多数の人が知りうる状態で、人を侮辱した場合に成立する。法制審には、侮辱罪に「1年以下の懲役もしくは禁錮」「30万円以下の罰金」を加える案を諮問する。改正されれば公訴時効も1年から3年に延びる。ネットへの書き込みは、投稿者の特定に時間がかかることもあるため、立件対象が広がる可能性がある。

侮辱罪の法定刑の改正を法制審議会に諮問すると表明した上川陽子法相=東京都内で2021年9月14日午前11時5分、山本将克撮影 拡大
侮辱罪の法定刑の改正を法制審議会に諮問すると表明した上川陽子法相=東京都内で2021年9月14日午前11時5分、山本将克撮影

 ネット上の誹謗中傷を巡っては、2020年5月に、フジテレビの人気番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さん(当時22歳)が、ネット交流サービス(SNS)で中傷された後に急死し、悪意ある書き込みに社会的な関心が集まった。警視庁は投稿者2人を侮辱容疑で書類送検し、東京簡裁が21年3~4月に略式命令を出したが、科料9000円にとどまり、「罰則が軽すぎる」との意見が出ていた。

 人の名誉を守るための刑法の規定には他に名誉毀損(きそん)罪があり、法定刑は「3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金」と重い。ただし、適用範囲の広い侮辱罪に対し、名誉毀損罪は社会的評価を下げる具体的な事実を示して人の名誉を傷付ける行為が罪に問われ、示した事実が真実だと証明された時は免責されることもある。木村さんへの投稿は「生きてる価値あるのかね」「いつ死ぬの?」などとした抽象的な暴言で、名誉毀損罪の適用は困難だったとみられる。

 法務省は、人を死に追いやることもあるネット上の誹謗中傷に、厳正に対処すべきだとする国民の意識が高まっているとし、侮辱罪も名誉毀損罪に準じた重い罰則とすることが必要と判断した。【山本将克】

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