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コロナ禍支援の「在籍型出向」 旗を振っても伸び悩む政府の誤算

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厚生労働省が作成した「産業雇用安定助成金」の利用案内。在籍型出向を活用した企業に支給される=2021年9月13日、石田奈津子撮影
厚生労働省が作成した「産業雇用安定助成金」の利用案内。在籍型出向を活用した企業に支給される=2021年9月13日、石田奈津子撮影

 企業が雇用関係を維持しながら他社に従業員を出向させる「在籍型出向」の活用が進んでいない。厚生労働省は新型コロナウイルス感染症で業績が悪化した企業からの出向の促進を念頭に今年2月に新たな助成金を創設したが、8月末時点で想定の2割弱の利用にとどまる。調べると、出向元と出向先との間に認識のずれが横たわる。

 出向とは労働者が出向元企業と何らかの関係を保ちながら、新たな企業で働くことを意味する。出向元の企業との雇用契約をいったん解消してから行う「転籍型」と、出向元と雇用関係を維持したまま別の企業で働く「在籍型」に大まかに分かれる。

「リストラ」でなく戻れる前提

 転籍型は「リストラ」のイメージがつきまといがちだが、在籍型は出向元に戻ることが前提で出向期間も決められている。労働者には両方の企業との雇用関係が存在する。

 また、出向には労働者の同意が必要で、出向元と出向先のどちらが出向中の給与を支払うかなどは双方の企業が話し合って決める。こうした労働条件を決めて両社で出向契約を結ぶ。

 コロナ前の在籍型出向は同じ業種間で行われることが主流だったが、新型コロナでは飲食業や宿泊業といった特定の業界全体が打撃を受けた。このため異業種への出向が増加傾向にある。

 政府は「コロナ離職」を避け、経済が回復した時点で出向元に戻ってもらう流れを後押ししようと、在籍型出向の利用を促している。厚労省は昨年の第3次補正と今年度で計581億円の予算を確保し、出向元と出向先双方の企業を対象に1日最大1万2000円を支給する「産業雇用安定助成金」を創設。4万3733人分の助成枠を用意した。飲食や航空など一時的に業績が悪化した業界から、小売りや介護など人手を募集している業界への労働移動を狙った。

 厚労省によると、約4万人の枠は、昨年8月の労働力調査を基に設定。休業していた164万人に対し、1割が出向を利用すると見込み、うち半数が2年間利用する計算だ。

 しかし、国の思…

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