危機に国民を信じさせた首相の「心強さ」 記者が見たメルケル/上

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メルケル首相=ベルリンで2019年7月20日、念佛明奈撮影
メルケル首相=ベルリンで2019年7月20日、念佛明奈撮影

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相(67)が9月26日の連邦議会選(総選挙)に出馬せず、政界を引退する。2005年から16年間、ドイツ、そして欧州をけん引してきた「欧州の盟主」とはどんな人物だったのか。毎日新聞の歴代ベルリン特派員が2回にわたり、「記者が見たメルケル」を紹介する。

 二つの総選挙が近づいてきた。現在ドイツに住む私が取材するのは今月26日のドイツ総選挙(連邦議会選)だが、在外投票ができる日本の総選挙の行方も気になる。自分がかつて住んでいた選挙区の政治家のツイッターやブログをのぞいて、この政治家は何を発信しているのだろうと時々見ている。

 遠いドイツにいながら日本の総選挙が以前にも増して気になるようになったきっかけは、新型コロナウイルス危機下でアンゲラ・メルケル首相(67)の対応を目の当たりにしたことだった。

 私がベルリンに赴任した2019年春、既に政界引退を表明していたメルケル氏は話題の中心ではなく、政界の関心はもっぱら誰が後継者になるかだった。

 その潮目を変えたのが昨年以降のコロナ禍だ。感染が拡大するにつれ、メルケル氏は従来以上に国民の信頼を得て、その求心力は高まっていった。

 もちろん飲食店や小売店の営業が禁止されるロックダウン(都市封鎖)が始まったり、幼い息子が通う保育園が閉鎖されたりするたびに気はめいった。疲れも蓄積する。店の経営者など直接収入に打撃を受ける人はなおさらだろう。

 ただ、毎回「あと少し我慢するしかない」という気にもなった。…

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