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北朝鮮の巡航ミサイル 挑発では事態打開できぬ

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 北朝鮮が、新型の長距離巡航ミサイルを試験発射したと発表した。自国領空を1500キロ飛行し、標的に命中したという。

 事実であれば、日本のほぼ全域が射程内に入る。弾道ミサイルより低い高度を飛ぶ巡航ミサイルはレーダーで捕捉しにくい。日本にとっては新たな脅威である。

 北朝鮮メディアは、ミサイルについて「戦略兵器」だと位置づけた。一般的に核兵器を意味する用語である。

 核弾頭の搭載を視野に入れているとすれば、北東アジア情勢の安定を脅かす。看過できない。

 金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記の妹、金与正(キムヨジョン)氏は先月の米韓合同軍事演習について「必ず代価を支払うことになる」と警告していた。演習への対抗措置という側面があるのだろう。

 一方で今回発射されたのは、国連安全保障理事会の対北朝鮮決議で禁止対象となっていない巡航ミサイルだった。新たな制裁などにつながらないようにする意図があるとみられる。金総書記は、バイデン米政権との対話に含みを持たせる発言もしてきた。

 北朝鮮の現実は厳しい。新型コロナウイルス対策で長期の国境封鎖を続けたことで、経済は大打撃を受けた。昨年の水害で食糧事情も厳しくなった。

 金総書記は国民生活を向上させることで政権基盤を固めようとしてきたが、このままでは、権力基盤が揺らぎかねない状態に陥っている。

 軍事的挑発を対話のてこに使う瀬戸際戦術では展望は開けない。それを長年続けてきたことが現在の行き詰まり状態を招いたのではないか。金総書記は現実を直視しなければならない。

 事態打開のためには経済制裁の解除が必要になる。それは米国との対話を通じてしか実現しえないものだ。

 何よりも重要なのは北朝鮮の非核化だ。

 金総書記は3年前の米朝首脳会談で、米国との関係改善と引き換えに非核化を約束した。それを履行する責任がある。

 日米韓はきのう対北朝鮮政策に関する高官協議を東京で開いた。非核化を実現させるための連携をさらに強めるべきだ。

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