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第49回衆院選

岸田文雄首相が衆院選を10月19日公示、31日投開票で実施すると表明。短期決戦の選挙戦となります。

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選挙は手段 若者は政治参加をツールに 能條桃子さん

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能條桃子さん=東京都千代田区で2019年11月、佐々木順一撮影
能條桃子さん=東京都千代田区で2019年11月、佐々木順一撮影

 この国の行方を左右する衆院選が遅くとも11月までにある。新型コロナウイルスへの対応など課題が山積する中、政治に何が求められているのか。有権者はどのように考えていけばいいのか。若者に政治参加を勧める一般社団法人「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さん(23)に話を聞いた。【聞き手・三股智子/科学環境部】

日常に溶け込むデンマークの政治

 政治に大きな問題意識を持ったきっかけは、前回2017年の衆院選です。社会勉強のつもりで候補者の事務所のインターンシップに参加したら、大人の文化祭みたいで楽しかったのですが、一方で候補者が選挙活動の中で若い世代と出会う機会がなく、若い世代の声を反映する難しさを感じました。

 どうやったら、上の世代がやっているように当たり前に政治に接することができるのか。「若者の問題」と言うよりも民主主義の問題、政治参加の文化そのものの問題に思えて、モヤモヤしました。

 そんな中、デンマークで若者の投票率が80%を超えていることを知り、19年に留学しました。デンマークでは、ちょうど国政選挙と欧州連合(EU)議会の議員選挙があり、感銘を受けました。

 というのも、当時の自分と同じ21歳が議員になったり、閣僚も30~40代が多かったりと、日本とは政治家の年齢やジェンダーバランスが違っていたからです。意思決定をする年齢層に偏りがないだけでなく、それを形作っているのは一人一人の有権者の政治参加でした。

 友人はみな政治への意見がありました。誰に投票したのか、なぜその候補者を選んだのかなど、自然と日常会話に出てきます。選挙活動では、街宣車が一般的な日本と対照的で、候補者は広場にテントを張って市民と対話していました。小学生には、候補者にインタビューする宿題が出ます。

 デンマーク人は、政治へのアレルギーを抱いたり苦手意識を持ったりする経験をしないのではと思います。幼い頃から「自分の意見を持つことが大事」だと教育を受け、例えば学校でも授業が分かりにくいと、子どもが進め方について意見を伝えて変えていくといった小さな成功体験を積みます。社会参加の感覚が違いますね。

 私は日本で政治に文句を言うことが多かったのですが、デンマークの同世代との会話を通じて、何かちょっとでも良くするためにできることをしたいと考えるようになりました。若者に政治参加を呼びかける団体「NO YOUTH NO JAPAN」を設立したのは、そんな思いがあったからです。

 当時のデンマークで、一番の争点は気候変動の問題で、議論を盛り上げたのは若者たちでした。企業が安い労働力を使って二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスを出しながら利益を得ているので、若者たちが抱えている格差や社会的に置かれている難しい現状は、気候変動の問題と関連しているという問題意識を持っています。その原因は資本主義だと考えている若い世代も増えています。

 日本の20代の動きを見ていると、利益追求だけではなく、事業を通じて社会問題の解決を図る「ソーシャルビジネス」の動きの方が大きいですね。経済を大事にしてきた日本の価値観や経験もあって、デンマークとは考え方が異なります。

自分の言葉で説明してほしかった

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