命つなぐ猫カレンダー10年 1日1匹 「不幸な死」訴え寄付増える

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県獣医師会いのちをつなぐ委員会が発行する「ふくおかの猫カレンダー」 拡大
県獣医師会いのちをつなぐ委員会が発行する「ふくおかの猫カレンダー」

 募集した飼い猫の写真をカレンダーにまとめて販売する福岡県獣医師会の取り組みが、来年で10年を迎える。毎日1匹の猫を紹介するカレンダーは、愛猫を載せたい飼い主の応募が相次ぎ、毎年完売する「人気商品」に。カレンダーには事故や病気で死ぬ猫が多い現状も紹介しており、猫の不幸な死を減らす不妊去勢手術のための同会への寄付も増えている。【吉川雄策】

県獣医師会が取り組み

 福岡県では2007年度、犬4795匹と猫1万1360匹の計1万6155匹が殺処分され、都道府県別でワースト1位になった。これに「この不名誉から何としても脱しなければ」と県獣医師会が「過剰繁殖問題対策委員会(現・いのちをつなぐ委員会)」を立ち上げ、10年から野良猫など飼い主のいない猫の不妊去勢手術費用の一部補助などをする「あすなろ猫事業」に取り組んでいる。

 だが開始直後は殺処分の現状を知らない愛猫家も多く、募集した飼い猫の写真とともに、不妊去勢手術への協力の呼びかけを載せたカレンダー製作を12年に開始。13年用にポスター形式で初めて発行すると、愛猫家の間で口コミで広がった。

和田委員長 拡大
和田委員長

 現在は見開きA3判で1日1匹の猫を月替わりで紹介する形式に改良。22年用カレンダーは今年6月23日に猫の写真を募集すると、約20日間で365日分の枠が全て埋まった。

 自分の飼い猫が載ったカレンダーを周囲にも配りたいと複数買う人も多く、昨年は9月の販売開始から約2カ月で完売。発行部数も20年用から500部増の2500部にした。

 カレンダーを通じて殺処分の現状を知る人も増加。昨年までにあすなろ猫事業で不妊去勢手術を受けた猫は約6300匹に上ったこともあり、福岡県での18年度の猫の殺処分件数は1851匹まで減った。

 しかし殺処分される猫は今もおり、さらに交通事故や病気などで命を落とす野良猫なども多い。福岡市によると市内の公道で20年度に回収された猫の死体は4574匹に上る。15年度の6438匹と比べると減少傾向にあるが、いのちをつなぐ委員会前委員長の中岡典子さん(60)は「あくまで氷山の一角。草むらや側溝の中など人の目に触れない場所で死ぬ猫は多く、不妊去勢を進めなければ死と隣り合わせの日々を過ごす野良猫などの数は減らない」と指摘。こうした現状もカレンダーに記しており、同事業への寄付額は10年度の71万円から19年度には343万円に増えた。

 22年用のカレンダーは1部税込み1000円で、10月上旬にも同委員会のホームページ「ふくおかの猫と犬」で販売を始める。和田敏憲委員長(62)は「カレンダーを通じて野良猫などの不妊去勢手術への輪をさらに広げるとともに、既に猫を飼っている人も責任を持って正しく室内飼育する決意を毎年新たにしてほしい」と話している。

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