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2021自民党総裁選

岸田文雄首相による新内閣が発足しました。内閣について考察した記事や各国の反応をまとめています。

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常夏通信

その111 戦没者の戦後史(57) 沖縄戦遺骨問題 河野太郎氏の発言を読む

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記者会見で自民党総裁選の出馬を表明する河野太郎行政改革担当相=衆院第1議員会館で2021年9月10日午後4時13分、竹内幹撮影
記者会見で自民党総裁選の出馬を表明する河野太郎行政改革担当相=衆院第1議員会館で2021年9月10日午後4時13分、竹内幹撮影

 自民党総裁選が近づいている。事実上、そこで選ばれた新総裁が次の首相になるだけに注目が高まっている。名乗りを上げた候補の記者会見を見る限り、メディアの関心は新型コロナ対策や経済政策、社会保障、安全保障、外交などのようだ。しかし私は、全く別のことに関心を持っていた。沖縄・辺野古への新基地建設にあたり、政府が沖縄本島南部の土砂を使って埋め立てようとしている問題だ。沖縄戦の死没者の遺骨が混じっている土を使う基地建設に用いようとする行為は多くの沖縄県民が異を唱えている。次の首相は、この問題にどう取り組むのだろうか。【栗原俊雄/学芸部】

総裁選出馬会見 戦没者遺骨をめぐる質問

 今月10日、河野太郎行政改革担当相が立候補の表明をした記者会見で、この問題についての質問が出た。質問したのは、東京新聞の山口哲人記者だった。

 「辺野古新基地政策についてうかがいます。河野さんが防衛大臣をつとめていた昨年4月に、沖縄防衛局が沖縄県に提出した設計変更の申請書ですと、本島南部の糸満市ですとか、八重瀬町を加えて、埋め立て土砂の採取候補地にしています。一方で糸満市などからは先の大戦で沖縄戦の犠牲者の遺骨が毎年まだ何十柱とか、何百柱とか多くの遺骨が収骨されていて、県民は南部の土砂を使用することに強い抵抗感を抱いています。先ほど河野さんは多くの皆様に納得いただいて政策を実行するとおっしゃいましたが、多くの沖縄県民が反対する辺野古新基地政策の是非をどうするか、南部の土砂使用の計画について河野さんのお考えをお願い致します」

 戦没者遺骨収容を所管する厚生労働省によれば、近年の沖縄での収骨数は2桁の数が収容されている。戦争報道=「8月ジャーナリズム」を一年中やっている「常夏記者」こと私は、本連載で政府の方針について、あってはならないことという認識で何度も取り上げている。

 しかし、本土における報道は私が見る限り、あまり熱心ではない。だから河野氏の記者会見での質問に驚いた。真っ先に出馬を表明した岸田文雄氏、それに続いた高市早苗氏の2人は出馬会見でこの問題に触れていない(記者の質問もなかった)。

本島南部の土砂を埋め立てに使うのか?

 山口記者の質問のポイントは二つある。…

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【2021自民党総裁選】

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