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ベラルーシ大統領選から1年 水面下で広がる政権不信=前谷宏(モスクワ支局)

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大統領選の結果に対し、政府庁舎近くで行われた抗議活動の前を横切る治安部隊の隊員ら=ベラルーシの首都ミンスクで2020年8月14日、ロイター
大統領選の結果に対し、政府庁舎近くで行われた抗議活動の前を横切る治安部隊の隊員ら=ベラルーシの首都ミンスクで2020年8月14日、ロイター

 旧ソ連のベラルーシで、ルカシェンコ大統領が6選を決め、大規模な抗議活動を引き起こした昨年8月の大統領選から1年が過ぎた。ルカシェンコ政権は「選挙に不正があった」と訴える政府批判の動きを抑えつけ、強権姿勢をますます深めている。私は大統領選1年に合わせた連載「欧州の独裁国 ベラルーシの今」で、迫害を受ける市民や国外脱出した活動家らの話を聞き、現状を探った。そこで見えてきたのは、表面的に抗議活動が沈静化しても政権への不信は水面下で広がっており、政治的危機は決して終わっていないということだ。

 ベラルーシの現状を知るには現地取材が欠かせない。そう思って、ベラルーシの外務省に取材許可を申請したのは5月半ば。大統領選後に外国メディアの取材規制は厳しくなっていたが、日本メディアが入国を許された事例もあり、当初は楽観していた。

 だが、何週間たっても返事は来なかった。外交関係者を通して状況を探ると、「日本メディアはルカシェンコ政権に厳しい記事を書いている」と指摘された。取材許可を出す気はないということだろう。やむを得ず、7月に入ってからオンラインの取材に切り替え、10人近い市民らにインタビューをした。

「抗議活動通じ市民社会形成」

 「誰がいつ、何かの口実で逮捕されてもおかしくない」。首都ミンスクに住むエレーナ・ボンダレンコさん(56)は、緊迫する国内の政治状況をこう語った。一人息子のロマンさん(当時31歳)は2020年11月、自宅近くの広場で反政権の象徴である赤と白のリボンを柵から取り除こうとしていた男らの様子を見に行き、帰らぬ人となった。男らは当局の関係者の可能性があり、ロマンさんはその場で暴行を受けたとみられる。真相解明を訴えるボンダレンコさんの自宅近くでは当局の監視とみられる動きが続く。

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