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性犯罪の厳罰化議論 被害見過ごさぬ仕組みに

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 性犯罪を処罰する刑法などの規定の見直しについて、上川陽子法相が法制審議会に諮問した。

 2017年の刑法改正で厳罰化が図られた。しかし、不備が残っており、適正に処罰されないケースも多い。

 被害者が泣き寝入りすることがあってはならない。性暴力の実態を踏まえ、被害を見過ごさない仕組みを早急に整えるべきだ。

 見直すべき点は多岐にわたる。

 まず、処罰対象となる行為の範囲だ。刑法の強制性交等罪は、暴行・脅迫があった場合にのみ適用される。だが、そうしたことがなくても、恐怖やショックから抵抗できない被害者は少なくない。

 被害者団体は、被害者の意思に反した「不同意性交」を罪とするよう求めている。

 上司や教師が地位を悪用して性暴力を加える例も後を絶たない。被害者である部下や生徒は立場が弱いため、助けを求めることが難しい。このような場合に直接適用できる規定はない。

 子どもの性暴力被害への対処も不可欠だ。

 その時には何が起きたか分からず、10年以上たってから被害を認識することもある。にもかかわらず、強制性交等罪でも公訴時効は10年だ。処罰の壁になっている。

 現在、相手の年齢が13歳未満だと、いかなる場合であっても性行為は処罰される。年齢の引き上げが必要だとの意見が出ている。

 法改正への慎重論は根強い。不同意性交罪を設ける場合、被害者が同意していなかったことを、いかに立証するかが課題になる。

 法務省の有識者会議でも議論が分かれ、今年5月にまとめた報告書は明確な方向性を示さず、賛否両論が併記された。

 しかし、性暴力の被害は深刻である。内閣府の昨年の調査では、女性の14人に1人は「無理やり性交をされた」経験があった。こうした被害を防ぐ対策が急務だ。

 19年に性暴力事件での無罪判決が相次ぎ、抗議の「フラワーデモ」が全国に広がった。声を上げた人々の思いを重く受け止める必要がある。

 外国の先進的な取り組みも参考にしながら、被害者に寄り添った議論を進め、実効性のある法改正につなげなければならない。

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