TPP、中国の加入交渉で在り方が揺らぐ恐れ 米国、にじむ対抗意識

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オンライン形式で開かれたAPECの非公式首脳会議に臨む中国の習近平国家主席=北京で7月、新華社・共同
オンライン形式で開かれたAPECの非公式首脳会議に臨む中国の習近平国家主席=北京で7月、新華社・共同

 日本などが参加する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に対して、中国が正式に加入を申請した。国有企業の保護で国際的に批判を浴びる中国の加入交渉は難航必至だが、その巨大市場は魅力的だ。高い水準での自由貿易を目指すTPPの理念が揺らぐ懸念もあり、参加11カ国に加えて、中国と激しく対立する米国の対応も焦点となる。

中国、米離脱後に関心強める

 「米国との対立を意識し、アジア太平洋での経済面の存在感を一層上げたいのだろう」。中国の狙いについて、ある日本政府関係者は推し量った。

 巨大経済圏構想「一帯一路」などで影響力を拡大する中国がTPPへの関心を強めたのは、トランプ政権下の米国が2017年に離脱してからだ。20年11月には習近平国家主席が「TPP参加を積極的に検討する」と表明し、動きは加速。21年の経済運営方針の柱の一つにも掲げ、東南アジアなどの参加国と水面下で意見交換を進めてきた。

 中国は地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の国内手続きを今年4月に終え、今月13日にはRCEPに参加する日本や韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)との間で、22年1月までの発効を目指す方針が確認された。こうした動きも踏まえ、より要求水準の高い経済連携であるTPPに対しても新たな段階に入ると決意した模様だ。

 習氏は17日のビデオ演説で、加入を申請したTPPには直接言及しないながらも「貿易や投資、技術を切り裂く高い障壁を取り除くべきだ」と述べ、多国間主義の必要性を強調した。

課題多く「加入できるような状況?」

 ただ、中国が実際にTPPに参加するには課題が多い。TPPは自動車など工業製品を巡る関税の撤廃や大幅引き下げのほか、さまざまな分野でルールを設けているからだ。

 中国は国有企業の影響力が強いが、TPPは政府が国有企業に補助金を与えて外国企業との競争を有利にすることを禁じる。中国が20年末に欧州連合(EU)と大筋合意した投資協定では、国有企業の透明性を高めて民間企業同様の競争条件を約束するとの考え方を持ち出してEU側の理解を得た。だが、習氏は「国有企業は絶対に…

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