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ボーボワールの「原点」自伝的小説 なぜ仏で66年間も未発表?

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ボーボワール著、関口涼子訳「離れがたき二人」=早川書房提供
ボーボワール著、関口涼子訳「離れがたき二人」=早川書房提供

 フランスの哲学者で1970年代の女性解放運動を先導したシモーヌ・ド・ボーボワール(08~86年)の未発表小説「レ・ザンセパラーブル(Les Inséparables)」が没後34年あまりを経て刊行され、話題になっている。小説は第二次大戦前のパリを舞台にブルジョア階級の少女だった自身の苦悩を題材にしており、「ボーボワールがフェミニストになった瞬間」が描き出されている。

 ボーボワールは49年、「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」で始まる代表的著作「第二の性」を発表した。女性を生まれながらの性別ではなく、男性中心の社会で「2番目」の役割を負わされた存在としてとらえ、そこからの解放と平等を求めるフランス国内外の運動に影響を与えた。66年には、パートナーの哲学者サルトルとともに来日し、講演などを行っている。

 新たに発表された小説は、亡くなる前に作品を託された養女のシルビー・ル・ボン・ド・ボーボワール氏が、執筆66年後の昨年10月、フランスの出版社から刊行した。シルビー氏は未発表作の出版に踏み切った理由を詳しくは語っていないが、フェミニズムの先駆者であるボーボワールの作品を手に取る人は近年、増えている。フランスの文化・芸術作品の批評サイト「サンス・クリティク」の統計では、2015年以降、ボーボワールの作品が読まれたり、言及されたりする回数が一貫して増加傾向にある。17年に起きた性暴力やハラスメントの告発「#MeToo」の機運も反映しているとみられる。

 名門カトリック女子校での親友との出会いとその死という、ボーボワール自身の9歳~20代の入り口の経験を題材にした小説は、「カトリックのブルジョア」と呼ばれた第二次大戦前の上流階級家庭の因習や抑圧を描く。例え…

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