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昨年9月、7年8カ月に及んだ安倍晋三政権がコロナ禍の下で終わり、官房長官として同政権を支え後任となった菅義偉首相も、就任1年で退任する。両政権は日本に何をもたらしたのか。今後、何が課題なのか。今回の政変について戦前の政党内閣史と比較する視点から、井上寿一・学習院大教授(日本政治外交史)に寄稿してもらった。
5年で終わった昭和戦前の政党内閣
安倍晋三首相の突然の辞意表明を受けて、思いがけず権力の頂点の座を得た菅義偉首相も、わずか1年で突然、辞意を表明した。この政変の問題は何か。戦前昭和の歴史との比較の視点から考える。
戦前昭和の政党内閣史は政変の連続だった。1927年4月に成立した政友会の田中義一内閣に始まる戦前昭和の政党内閣は、それからわずか5年で終焉(しゅうえん)を迎える。この間に成立した四つの政権は、すべて政変の結果、交代している。政変の直接のきっかけとなったのは、張作霖爆殺事件、首相暗殺未遂事件、満州事変、5・15事件だった。
張作霖爆殺事件の処理を誤り辞任に追い込まれた田中の代わりに、民政党の浜口雄幸に首相の座が巡り来る。浜口内閣の成立は棚から牡丹餅(ぼたもち)に等しかった。そこで浜口は衆議院の解散・総選挙によって国民に信を問う。緊縮財政による経済危機の克服を優先させて社会政策を後回しにする民政党の政策は、国民に負担と犠牲を求めていた。それにもかかわらず、民政党は30年2月の総選挙で単独過半数の273議席を獲得する。
国民の支持を背景に勢いづいた浜口内閣は、…
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